僕は今日、あなたの夢を見る思い出が、机に散らばる。
古くなって、多少色褪せてはいるが、その輝きは決して失われない。
「集めてこられたのは、これだけですね」
机に重なった写真を広げて、ルイスが言った。
「十分だと思います」
フレッドが椅子に深く座り、シャツの袖を軽く捲りながら頷く。
不本意ながらも、開催することになってしまったモリアーティ家主催のお茶会。
誰に見られても、疑念を抱かせない屋敷作りの為、ルイスとフレッドは、三兄弟がロックウェル伯爵家に身を寄せていた頃の古いアルバム作りをウィリアムに頼まれていた。
早速、ルイスが新しく買ってきた大きなアルバムに、フレッドが細工をしていく。
表紙の角はザラザラとした目の荒いヤスリで優しく削って、ページの端に濃く煮出した紅茶を塗って色を付ける。
2089