闘志と劣情は似ているその日は灼熱の暑さだった。サンディエゴの太陽が容赦なく機体を灼き、マーヴェリックの手厳しい特訓に喘ぐトップガン精鋭たちの体をさらに焦がす。
ルースターとハングマンの応酬がいつもより険のあるものになったのも、きっとそのせいだった。
「おいルースター、そろそろコールサイン変えたらどうだ?お前に"Rooster"なんて勿体ねえよ」
機体から降りて開口一番、ヘルメットを脱ぎ捨て汗を飛ばすように頭を振るハングマンが憎まれ口を叩いた。いつも通り口元は弧を描いているが、その青い眼は険しくルースターの背中を射抜く。
同じく機体から降りてきたルースターに、フェニックスが「奴に構うな」というアイコンタクトを送る。いつもならその視線に軽く一瞥をくれるルースターは黙って踵を返すはずだった。
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