過去編③ るら 学校で繰り広げられる兄弟自慢。あたしには姉がいる。ただし、自慢できるような姉ではない。だから、頭のいい兄弟をもつ人も体の丈夫な兄弟をもつ人も、羨ましかった。
今日はテストが近いので学校が早く終わった。帰り道、知らない人達が姉の話をしているのにすれ違った。どうやら姉のクラスメイトらしい。
「海野はなぁ、馬鹿だしなぁ。論外だわ。」
「よく休むし、たぶん何度かはズル休みなんじゃね?」
よくよく聞いていたら、どうもクラスの女子達にランク付けをしているようだ。姉のことをよく知りもしないくせに、本人が目の前にいないのをいいことに言いたい放題。妹はすぐ目の前にいるというのに。あたしはポケットからスマホを取り出して、誰かに電話している風を装って大きめの声で言い返してやった。
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