Lycoris radiataの生活環・Ⅲ 呆気にとられた表情で、炭治郎は無惨と童磨を見つめていた。
別の世界の、夢。
幾度も己が繰り返してきたそれが、ひとつの現象へと収斂していく。俄かには信じがたかったけれど、眼前の二人の振るまいからは、ひとかけたりとも放埒な嘘の匂いなどしなかった。余りにもひたむきで、混じりけのないそれに、炭治郎はおずおずと質問を差し出す。
「え、っと……それ、俺に話してもいいことなんですか?」
「うん。だって、君がそれを誰かに吹聴したところで、誰もマトモに信用しないだろう? 夢ばっかり見てる子供の戯れ言だって。俺たちもそうだった。ただ一人、無惨様以外は」
ほんの僅かだけ、童磨の顔が曇った。
極彩色の瞳は光を弾くことなく留め、白橡の髪が陰った陽に白く濁る。それは他人を映す鏡である彼が見せた、本来の輝きのようにも見えた。それを机越しに眺めやりながら、炭治郎の頬が僅かに強ばる。
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