きみ知るやひかりの国「タッツン先輩はさァ、なんでアイドルになろうと思ったの?」
レッスンの休憩中、藍良がふとそう口にした。
おそらくは時間潰しのようなものだったのだろう、何気なしのその問いに、とくにとりつくろうこともないかと正直なところを口にすれば、藍良は目をみひらいてかたまってしまった。
どうやら驚かせてしまったようだとはなんとはなし察せられるものの、ではいったいどのあたりがといえばどうにも判じかねて巽は小首をかしげる。
そういえばいつだったか、おなじ話をしたときジュンには嘘くさいと評されたのだったなということもぼんやりとおもいだした。
自分はどうにも世のならいに疎く、うまく体裁をとりつくろうことができない。
硬直する藍良を見やりつつ、さてどうしたものかと巽は腕組みをし思案する。
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