SCRAPその日、龍宮寺堅は思い出した。
自分の共同経営者、乾青宗が世間一般から見て美形であるという事実を。
中身や過去はともかく、黙ってさえいれば被写体としてもモデルとしても非常に絵になるという現実を。
取材をさせて欲しいという電話が入ったのは、林田の結婚式を終えて数日経った後の三月下旬だった。
バイク雑誌がこんな小さな店をどこで見つけたのかと思ったが、よく聞けばバイク雑誌ではなくタウン情報誌だった。それならば松野のペットショップや河田兄弟のラーメン屋も取材を受けたことがあると先日の結婚式の際に耳にしたことがあったので納得した。
林田の結婚式の為にととにかく仕事を前倒しで終わらせていたので、ちょうど落ち着いていたということもあり取材を受けることにする。
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