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    pheas357

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    ↓の続き
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    気が抜けてうっかり床で寝る北と想定外の事態に弱い南を書きたい……のはずがどうしてこうなった

    ※これはちょっと腐向けかもしれない左右はご自由に※

    水底から上るようにゆっくりと意識が浮上する。同時に全身の痛みも強くなっていったが、なんとか堪えて目を開く。病室の天井が目に映り、もう一度自分がなぜここにいるのかを思い出した。
    同時にネジキと話をしていた事も思い出す。その間に再び意識を飛ばしてしまったようで、記憶が途切れていたが、それからどれくらい経ったのかと頭だけ動かして周囲を見回した。
    病室には今自分1人しかいないようだった。ネジキが座っていた椅子がそのままベッドの横に置きっ放しになっている。
    帰ったのか、ネジキが片付けないのはおかしいからちょっと出ているだけなのかと思いながら、体を起こしてみる。先ほどはあまりの痛みにすぐまた倒れてしまったが、今回はあちこち痛むもののなんとか我慢して起きられそうだった。
    視線が高くなったところで、床に見慣れた黒と緑を見つけて、心臓が跳ね上がる。
    「お……、おい!」
    叫びながら飛び起きて手を伸ばす。全身が痛んだがそんな事は言っていられない。
    「おい、ネジキ、しっかりしろ!」
    なんとかベッドからおりて、叫びながら自分でもよくこんな力がと思うくらいに強く肩を揺する。本当はどこか岩が当たってケガをしていたのになんでもないふりをしていたのではないかと、そんな考えが頭をよぎる。
    「…………んん……」
    ゆっくり開かれた目がダツラの目線と合って、次の瞬間あわてて飛び起きる。
    「あ……、あの、大丈夫です……」
    「大丈夫って、おめえ……」
    「なんだか、座ったまま寝ちゃったみたいで……」
    言いながら立ち上がる。動きに不自然さは感じられなかった。これは本当に寝ていただけかもしれないが、一方でまだ本当に大丈夫かと不安も残る。
    ネジキはネジキで迷っていた。状況からして、どうもこれはただの寝落ちというよりは、ダツラも自分もなんとか最大の危機は脱したことに気が抜けてしまったためであるらしい。
    ただそう説明したとして、ダツラがどう思うだろうか。とりあえずたいしたことがないと知って安心してはくれるだろうが、自分のケガのせいで、と思ってしまったりしないだろうか。元はといえばケガをしたのはネジキを助けるためで、原因は完全にこちらにあるのだが、きっとそんな事は考えもしないだろう。
    互いにベッドの縁と椅子に座って向かい合う。
    状態をよく確認しようとするように、ダツラはネジキの目をじっと見つめた。ネジキはほんの一瞬目をそらしてから、何か言おうとするように口を開きかけてすぐまた閉じる。少し間を置いてから、もう一度口を開いた。
    「あの……、多分安心して気が抜けただけだと思うんです……」
    どうにも目を合わせにくく、少し顔を伏せぎみにして小さな声で話す。一方でやはりダツラの反応も気になって顔を上げて、…………目があった瞬間ダツラが吹き出した。
    「なんだ、そうかぁ……っ」
    いつものように豪快に笑おうとして、それはさすがに傷にこたえたのか一瞬声が詰まる。とっさに立ち上がろうとするネジキを手で制する。
    「大丈夫」
    深呼吸しながら痛みがおさまるのを待つ。
    また泣き出しそうな顔のネジキを見て、今度は自分からその手をとった。左手と、なんとか動かした右手でネジキの両手に触れる。傷のせいか、右手は少し冷たかった。その右手を自分の左手とネジキの両手に触れさせる。
    「ネジキ……、おめえ、あったかいな……」
    どう答えればいいかわからずに黙っているネジキに、更に続けて言う。
    「やっぱり子供って体温高えんだな」
    「っ……、もう!変なこと言わないでください!」
    ダツラの左手を強めに握る。
    「笑いすぎると傷にさわりますよ?!」
    思いっきり力を入れてやるとダツラは相変わらず笑いながらも降参のポーズをとる。
    ネジキもいつの間にか泣きそうだったことを忘れて一緒に笑っていた。
    二人でひとしきり笑った後、ダツラはベッドに戻る。
    横になってから、あごの辺りまで毛布を引っ張り上げて軽く息をついた。
    「ダツラさん、寒いですか?」
    「……ん、ちょっとな」
    空調に問題はなさそうに感じたが、傷のせいで体温調節がうまくいかないのかもしれない。
    少し考えて、椅子からおりるとベッドの横に膝をつく。そこからできるだけ隙間ができないように気を付けながら両手を毛布の中に潜り込ませた。
    傷の負担にならない程度に右手に触れる。
    「……こんなの、今のうちだけですからね」
    驚いた様子のダツラから目をそらして、ぼそりと言う。
    「……あったかい」
    そりゃあぼくは子供ですから、と答えようと顔を上げると
    「…………ネジキ」
    いつもと少し違う声でダツラに呼ばれた。
    「…………生きててくれて、よかった」
    強めに閉じたダツラの目尻が少し光っていた。
    「お互いに、じゃないですか」
    ダツラが目を開けて、左手でそっとネジキの額に触れる。そのまま軽く撫でられるのがなんだか心地よい。お返し、というわけでもなかったが、ネジキもダツラの右手をさするようにしてそっと撫でる。
    2人で少しだけ泣きながら、それよりはもう少し笑いながら、相手が生きていること、自分が生きていることを確かめ合いながら、今一緒にいられてよかった、と思う。
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