一口目を君に 階段から落ちたら他人と同居することになった。
以上の言葉を聞いた時、大半の人間が頭にはてなを浮かべることだろう。意味が分からない、文脈に整合性がない、と訴えることだろう。けれども現に水上は階段から落ちた結果、自身の先輩兼隊長である生駒の家に転がり込む羽目になった挙句、たった今まさに「アーン」を強いられている状況である。口元に押し付けられた油淋鶏は揚げたての衣がサクサクジューシーで、いかにも美味そうな見た目をしている。これを三十分程度でササっと作れてしまうあたり、生駒の料理スキルは相当高いことが窺える。それ自体は水上にとって敬意に値する。自分では絶対にできない。感服だ。のだが、だからと言って「アーン」を許容できるかどうかはまた別の話であった。
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