おもいの果 前日は家族と、前々日は友人たちと過ごすだろうからな。だったら四日前くらいが案配がいいか。その日、空いてるか、神田。
そんなことを打診されたのは、かつての同僚でもあった王子隊のふたりも招いての打ち上げの場だった中華料理屋を出ていこうとするその時だった。数日前に、抱いたばかりの弓場から。
そして、季節の変わり目に体調を崩すなんて久々で呆れる、と自嘲気味の弓場からのメッセージが神田の個人端末に飛んできたのは、約束した日の前日のことだった。俺からスケジュールを抑えさせておきながらすまない、とも。
風邪をこじらせたようなものだから心配するな、と付け加えらえてはいたものの、自分から申し出た約束を違えるなど、義理堅く、仁義に篤い彼がめったなことではするはずもなく、翌日神田は思いつく限りのお見舞いの品を抱えて、弓場の元へと向かった。
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