さよならSpaceまた来てCosmos そのセンター街の裏手の、白い電球がいつも店内を煌々と照らす花屋には宇宙人がいる。宇宙人、いや、「あのバイト」を宇宙人以外に形容する言葉を僕は今までの人生の中で出会ったことがない。
まず、「あのバイト」には触角がある。それは頭から二本にゅっと生えていて、日によってなんだかどぎついピンク色だったり、薄い水色だったり、血よりもさらに真っ赤だったり、てらてらとした黒だったり真珠のような鈍い艶の白色だったりした。さすがにそれを本物かどうか試すために掴んで引っ張ってみたことなんかない。髪は薄い青と紫の中間のような色でいつも高い位置でくるりとひとつにまとめている。そして何をどうしているのか光が当たるたびにまるで流れ星のように大きくていろいろな色の光の粒子が髪の上で飛び跳ねる。僕がここでバイトを始めた二週間前と比べると前髪のあたりがほんの少し伸びたように思うから、あれはコスプレウィッグなんかではなくて地毛だ。いや、信じられないけど。
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