元の話しおり「そういえば、二人は褒賞金どうするの?」
修「え?褒賞金って…?」
しおり「大規模侵攻でもらった戦功ポイントは千佳ちゃんにうつしたけど、褒賞金はそのままだよ」
修「そうなんですか…でも、ぼくは本当に千佳のトリオンで戦ってただけなので、賞金もそのまま千佳のものでかまいませんが…」、
千佳「私はいりません。それは、修くんがもらうべきものだと思うから…」
修「…千佳…」
修「…それじゃあ、何かあったときのために貯金しておくよ」
ユーマ「ふむ?チョキンってなんだ?」
修「お金を銀行ってところに預けて、使いたいときに返してもらうんだ」
「預けておけば、誰かに盗まれる心配もない」
ユーマ「ほほう…」
ユーマ「そのギンコーってやつは、お金を勝手に使ったりしないのか?」
修「それはありえないな…信用問題になるから…」
※システムとして大雑把に言えば預かったお金を銀行側は使っていることになりますがここでは割愛します。
ユーマ「日本はそういうところは平和なんだな」
修「いや、これは日本に限った話じゃないと思うけど…」
ユーマ「返してもらうときは、預けた本人じゃなくても返してもらえるのか?」
修「それは…どうなんだろうな…」
しおり「一応カードと通帳と暗証番号さえあれば大丈夫なんじゃない?」
「ほら、お母さんが子どものお年玉を子ども名義の口座に貯金してたりするし」
ユーマ「ツウチョー…?コウザ?よくわからんな…」
ユーマ「よし。オサム、おれもチョキンしたいので、オサムがチョキンするときいろいろ教えてくれ」
修「え?いや、くがは好きに使っていいんだぞ」
ユーマ「でも別に使うところないし」
しおり「ほしいものとか買っていいんだよ?」
ユーマ「ほしいもの…」
ユーマ「…特にないです」
修「欲がないな…」
しおり・ちか(修くんもね…)
修(まあ、くがはすでに大金持ってるからな…)
しおり「でも、将来のために貯金ってのも堅実でいいと思うよ」
ユーマ「…将来…」
修(…あ…)
(くがの…将来…)
ユーマ「………そうだな。将来のためにチョキンするとしよう」
修「………!」
夕飯の後片付けをするオサム。
修(くがが、あんな言い方するなんて…
もしかしたら、生身の体に戻る方法を探す気になったのか…?)
(それならぼくも手伝わないとな…!)
屋上で一人夜空を眺めるユーマ。
修「くが!」
ユーマ「オサム」
「どうした?」
修「いや…」
修「その、さっき、将来のために貯金するって…」
ユーマ「ああ」
「家庭を持つと何かと入用ですからな」
修「か…!?!?!?」
「そこまで考えてるのか!?早すぎないか!?」
ユーマ「何言ってるんだ、未来なんてあっという間だぞ。
あと三年もすればオサムだって18歳だ。日本では結婚できる年齢なんだろ?」
オサム「そ、それは、そうだけど…」
ユーマ「オサムとチカの子どもはきっとかわいいとおれのサイドエフェクトが言っている」
オサム「え!?」「だからぼくとチカはそんなんじゃ…」
修「…………」
「くが」
「おまえの言ってる将来って…『誰』の話だ…?」
ユーマ「………」
「……だから、オサムの将来だよ。」うすく笑う
「おれの稼いだお金でオサムが幸せになってくれたらおれも幸せだからな」
にっと笑顔のユーマ。
オサム「…………」
「………」
無言でくがを抱きしめるオサム
ユーマ「…オサム…」
修(…なんで…)
(なんでそこにおまえがいないんだよ…)
ゆうまサイド
(本当は、『誰の将来』かなんて、言うつもりなかった)
(オサムのためじゃなくて、おれがそうしたいからそうするだけだし)
(それに、そんなこと言ったら、オサムはきっと、また、心配するから)
(でも、おれだってたまには伝えたい)
「…オサム…」
おれのわがままをゆるしてくれ。
おわり