空閑汐♂デイリー【Memories】07 長期休みを終えた秋の空は高い。
「天高く馬肥ゆる秋、正に秋高気爽だな」
そう口にして笑う汐見の隣で空閑も釣られて笑みを浮かべていた。三年次を修了し、ようやくこの学院でも四年目の授業が始まる。
「それにしても、この休みも楽しかったね」
「だな」
空閑と汐見は揃って日本には帰らず、同じく帰省をしなかった篠原と共にフェルマーの家で世話になっていた。ドイツ国内だけではなく隣国まで足を伸ばし観光に勤しんだ日々を思い返した空閑は小さく笑う。
「途中で高師が合流したのには笑ったよな」
「意外と付き合いいいんだよね」
空閑達は後二年あるが、フェルマーを含めた他の三人は今年が最終学年だ。就職や卒論等で忙しくなる前に思い出作りをしようというのが今回の観光三昧となった理由の最たるもので。それを知ってか知らずか、丁度旅程の最後に入れていたオクトーバーフェスには早めに帰省を切り上げた高師も合流していたのだ。
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