ドクターが風呂で溺れかけた話 研究にハマって寝ずに何かしていたアですら、もうちょっとはマシだった気がする。リーは後にそう独白した。
ドクターの執務室のドアを開けると、椅子に腰掛けて上を向いてピクリともしない部屋主が居た。リーが近寄って見れば、どうも瞬間寝落ちていたらしい。声をかけるとびくりと体を揺らしてドクターは声がした方にフェイスシールドをしたままの顔を向けた。
「ああ、おはよう」
「おはようございます、ドクター」
「……あ、リーか。そうか、リーが今日の秘書係だっけ。よろしくね」
寝ぼけ声でそう言いつつ、机の上にあるクリップどめの資料に手を伸ばそうとするのでリーはそれを押しとどめた。
「一体どれくらい寝てないんですか」
「寝てたよ、今」
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