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    お花見割烹屋ディルガイ進捗
    エリートリーマンディルック×割烹屋女将ガイア

    暖かくなって来た昨今。お花見でもしたいなと言い出したガイアに付き合うという体でウキウキとデートだと浮かれるディルックに自分達もデートだといちゃつく赤と青の兎達の話(進捗)

    #ディルガイ
    luckae
    #luckae
    luckae

    お花見割烹屋ディルガイ進捗「今日退勤してくる時にも桜が満開に近くてね」
    「急にあったかくなったもんなぁ。兎の旦那様も最近良く庭を走り回るんだ」

     暖かくなったせいかパタパタと畳を走り回る兎を見ながら割烹屋特製の定食を待っていれば世間話を始める常連客に相槌をうつ女将という光景……正しくはディルックがニコニコしながら料理をするガイアの手元を眺め、女将の自慢のペットの兎がいつも通り牽制するという光景が広がっていた。
     ディルックからすれば、時折飛び跳ねている姿を見ると、兎とはここまで元気に走り回るものか、やはり生き物も活動的になる季節なのだと実感する。でも時折この赤い兎は小さくて可愛い顔をしておきながら飛び膝蹴りか?と思うくらいにディルックの姿を見かけると一目散に駆け寄って……というより突進してくるのである。割烹の女将ことガイアは、

    『今作っているから二人で遊んでてくれよな‼︎』

     と火に油なことを言い出すのだから、おかげで最近は足ダンをしても意味がないと悟った兎が睨みつけてくるので、自分のタブレットでディルックの家の可愛い兎を見せるか、ビデオ通話でもさせて大人しくさせるしか手が無く、新しい大容量の充電器を買うか、ディルックは悩んでいるところであった。 
     元々出張用のパソコンに使うものを持っていたのだが、最近はこの愛くるしい兎たち(※一匹は可愛い見た目に反して凶暴とも言える)のために電池を使っているような状況。とは言いつつも魅惑の女将にご飯ができたと呼ばれれば、すぐに駆け寄るところはにたもの同士と思われていることをディルックと赤い兎は知る由もないのだが……

    「この春の野菜天ぷらセットも美味しいね」
    「今の時期特製だ‼︎小さな団子も作ってみたんだ」

     今の時期にぴったりと言わんばかりに春の野菜を天ぷらにしたセットを出してくれるガイア。出張帰りにガッツリとしたものを食べたいとリクエストすれば、海老の天ぷらの定食だけでは足りないだろうと急遽野菜の天ぷらも添えてくれたのだ。新じゃがに新玉ねぎなど甘味があって美味しいと褒めれば、新作として出そうと思っていたが良かった!と、はにかむ女将にやはり疲れた体を引きずって出張帰りに来て良かったと思うのである。ちなみに今日も客はディルックしかおらず、役得と考えていると調子に乗るなとばかり赤毛の兎がまた革靴に噛みつこうとしているのはお約束であった。

    「しかし、もうすっかり春なんだね。食事に季節の食材が出てくると変わり目なんだと感じるよ」
    「俺も季節はあったかい方がいいな。調子もだいぶ違うし」

     この細い女将が言うのも預ける事情があり、その細身で店を切り盛りできるのかと心配をしていたら案の定体調を崩していたらしく、その間大丈夫だったのかと聞けば、店を閉めて兎の面倒だけ見ていたらしい。今はもう大丈夫だと言うガイアに無理をして抱え込んでほしくないと思うディルックだがまだ客と店の女将という関係である。無理をして迫ってもいけないとディルックは天ぷら定食を美味しくいただきながら会話を続けることにする。

    「でも和菓子を作れるくらいに回復して良かったよ」
    「ふふ、じゃあ快気祝いのお酒開けてくれるか?」
    「全く君は……」
    「だって旦那様のカバンから一升瓶が……いつ出してくれるのかなと。旦那は飲めないだろ?」

     こちらの意図を察していたらしいガイアに全くという顔をしつつも、確かに旅先のお土産として持ってきたのもある。くれぐれも呑みすぎないことと、せめて熱燗にするように伝えると「いただきます♡」と可愛らしく一升瓶を抱えるので、つい許してしまうのだ。鼻の下が伸びているぞ‼︎とふわふわとした感触が足元をくすぐっているのを察しつつ、話題はディルックのプライベートの話になった。

    「ディルックは花見するのか?」
    「僕は毎年仕事している間に逃してしまうんだ」

     聞けば毎年咲いたとは思うが年始はどうしても帰れなくて疲れたまま終わってしまうという話をするディルック。日中はオフィスに篭りきりだし、休みは寝るだけ。そうこうしている間に、シーズンは二週間しかない。またたく合間に今年も過ぎてしまうのだろうと一人愚痴っていると、来週が花が散るピークだろうと考えていた独り身の男に急にか細い声が聞こえてきた。

    「……一緒にお花見するか?」
    「えっ……いいのかい?まず君はお花見……というか人混みが好きじゃないだろう」

     誘ってくれて嬉しくないわけがなかった。たまには久しぶりにゆっくりしたかったのはあるし、ガイアとデートできるならば尚のことである。どうせならばまたうちの兎を足元で自分の主人に手を出すなと威嚇してくる兎に合わせてやってもいいかもしれない。まずそもそもガイアは人混みは好きでないようであった。自分の城である店で接客をする分には兎も角、頭の頭巾を頑なに外したくないというのもあるようだし、まず兎が家にいるから一匹にしたくないというのもあるようで、コンシェルジュがいるディルックとはまず違うという話なのである。そんな事情があって裏では密かな人気を誇る女将とお家デートなどまたとないチャンス。
     お泊まりしたではないかというツッコミはディルックの家の兎からツッコミが入りそうではあるが、あれは事故であり、不可抗力である。それにガイアからお誘いということは僅かながら意識してもらえている……というよりも自分のテリトリーに入れてもいいと言われているようで信頼されているのかなとも考えられ、嬉しくもあるのだ。

    「うん。人混みは好きじゃないから……うちの庭でもできるかなって……」

     チラチラとディルックの様子を伺いながら様子を見てくるガイアは可愛らしさもあるが控えめで奥ゆかしい子からアプローチを受けているも当然のこと。呆れた視線を送ってくるであろう自分の家の兎に君の気になっている子にも合わせるからと言う自分を想像しつつ、やっぱり忙しいし疲れてるし休みの日は寝たいよな……と話を撤回しそうな女将の静止を振り切って花見を強行するとばかり早速日程を合わせようとするディルック。

    そうこうしているうちに休日になり……

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    PROGRESSいつか、その隣で笑えたなら/ディルガイ
    「猫の王国」パロ。すけべパートは分けたいので短いですがその3。真相が明かされるよ
    「嘘、だろ……? だってお前、俺よりも少し歳取ってるじゃないか」
    「……君が、即死じゃなかったからだよ」
    「え……?」
    「……僕が知る『一度目』の君は、急凍樹の力により氷漬けになってね。聞いたことはないか? 氷漬けになった動物が、長い年月を生きたまま過ごした話を」
     知っている。知っているがゆるく首を振った。それ以上は聞きたくないとばかりに、震えるガイアにしかし──ディルックはどこまでも、平坦に言葉を続けた。
    「僕は必死に、氷を溶かしたさ。だが君の負った傷は、あまりに深すぎたんだろう。君はそのまま5年ほど眠り続けて……ついぞ目覚めることなく、命を落とした」
    「じゃあなんで、お前は」
    「……生きる、つもりだったさ。それでもいつか、君が助けた……赤毛の猫をある日見かけて、無意識のうちに追いかけた。
     そうしたら、その猫はぐったりした青い猫のそばで必死に鳴いていた。だから僕は、その猫を獣医の元まで送り届けて……さて帰ろう、と思ってからの記憶がない」
    「それで、ここにいた……って?」
    「そうだ。聞けば過労だったらしい。猫を抱えて必死に走ったのが決め手だったからと、僕はここに招かれたけれど」
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