待ち合わせ駅前の謎の銅像の前が待ち合わせ場所だった。
「わざわざ外で待ち合わせする必要なくねぇか」
隣の女性がフェイスの方をちらちらと見ていた。サングラスをかけていても端々の所作と顔の造形から女性に好かれそうな男なのが滲み出ているのだろう。キースと視線が合えば、息を飲み込み声をかけようとフェイスの方へ振り返る。
「外で待ち合わせした方がデートっぽいでしょ」
サングラスの合間から覗く瞳が細められた。隣の女性は固まり、キースとフェイスを交互に見返す。いたたまれない気持ちになったキースの腕をフェイスが掴み歩き出す。
「予約に遅れるから」
掴んだ手首から絡む指先。何の罰ゲームだと思いもしたが、何よりも不幸なのは隣の女性であった。
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