Yes granita 時刻、13:40
気温、36℃
ここ連日、グリーンイーストは猛暑に見舞われていた。
照りつける直射日光が容赦なくじりじりと肌を熱し、建物の壁や窓に跳ね返った強い光が周囲を一段ほど明るくさせ、眩しさに目が焼かれて視界が変な色になっている。
上空からだけではなく、地面からも絶えず熱が立ちのぼり、逃げ場を失った熱は、多くの人間が活動するであろう高度を茹だらせていた。
少しずつ、思考する力が溶解をはじめる。
黒い髪であることも起因していそうだ、頭があつい。こころの内側に存在するもうひとりの自分は、犬や猫が暑さで床に伏すようにして、ぐったりと伸びている気がする──。
一瞬、めまいがした。
はっとしてまばたきを繰り返す。
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