二者択一の後悔■Integratorからカットした部分
「世界全部とたった一人のどちらかしか救えないなら、キミはどっちを選ぶ?」
「随分また極端な話だね。そうだな……状況次第、かな」
「それじゃあ、キミには想像しづらいかもしれないけれど。キミの一番の親友から、自分と戦わなければ世界が滅ぶぞ、って武器を突き付けられたとしたら……キミは戦うんだろうなあ」
「まあ、そうなるだろうね。そして勝つ。ボクが負けるなんて許されない」
何となく合点が行った。エルフはありえたかもしれない過去の話をしている。
「世界全部とただ一人のどちらかなら、ボクは後者を選ぶね。と、仮でも言えるボクが羨ましいんだろう?」
「……ああ、そうかも。多分そうだ。おれはね、……いや、ボクだったら、きっとそう考えることすらできなかった。結果が同じだったとしても、個を選んだことをずっと後悔し続けたと思う。そうならなくてよかった」
全より個を選ぶなどオリジナルにはできない。できないだけの理由がある。すべての条件を鑑み、最善を考慮し、それでも納得できる答えを出したいがゆえに軽々しく勝手など言えないのだ。自分はそうではない。悩まない。迷わない。押し潰されることもすり減ることもなく、本心に一番近い選択ができる。