ラブイズヘヴィ「あ、」
ドラマ収録を控えて入ったメイクルームでの事だった。
見知ったヘアメイク担当の女性が小さくあげた声に台本に向けていた視線を外して鏡を見る。
「どうかしたかな?」
「あぁ! すいません…! 変な声だしちゃって」
ファンデーションを叩いていた手を止めて彼女は申し訳なさそうに前髪に隠れていた眉の上辺りを指を差して謝った。
「本当に全然大した事じゃないんです。…ここ、ニキビがあって…思わず」
「ああ、本当だ。撮影前に申し訳ないなぁ。大丈夫かな」
「全然メイクで隠れるから平気ですよ! 名取さんいつも人形みたいにツルツルだから、珍しくて。つい…すいません!」
「ねー! 本当羨ましい! 美肌の秘訣教えて欲しいくらい!」
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