【二次創作】氷菓子を食べる話(高内主従)「暑いですね…」
高明が疲れた様子で呟く。昨晩は酒宴があり、高明はもちろん、主人の帰りを待っていた内麻呂も寝不足だった。
庭に目を向けると、蝉が懸命に鳴いている。空は青く、夏真っ盛りだ。
「今日はお勤めもないので、お休みになられた方がよろしいかと」
水を差し出し、内麻呂は主人を気遣う。高明が「そうですね」と言ってため息をついた。
「そうだ、しばらくお待ち下さい」
内麻呂はそう言って部屋を出る。しばらく経った後、手のひらに器を乗せて持ってきた。器の中には白い、餅のようなものが入っている。
「氷菓子です」
「氷……削り氷とは違うようですね?」
「はい、ぜひお召し上がりください。冷たくておいしいですよ」
高明は受け取った氷菓子をまじまじと眺める。見たこともない、不思議な食べ物だ。白くてひんやりとしたそれに、高明は匙をつける。口に含むと、冷たさと甘さが広がった。
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