幻だと言って「そういえばさあ、昨日アレ見たんだよね。太陽の横にもう一個太陽が見えるヤツ…幻日っていうの?」
「あ?ゲンジツ?」
「そー、まぼろしに日付けのひで幻日。名の通りただの偽モンだけどな」
「…へぇ」
「お前みてえ」
「…ンだそれ、キショ」
_________
虫唾が走る。なんて今の状況に合う言葉だろうか。
何故かポケットに入れたはずのスマホが見当たらなくて、帰路の途中で事務所へとんぼがえりしたところだった。
仕事以外で使うことはないし明日でいいかといつもならそのまま帰っていたのだが、今日は勝手が違い本部ではなく概ね子会社のような場所に訪れていた。月イチで監視を目的として足を運ぶ程度だったのでスマホを置いて帰ってしまえば少々面倒臭い。
3219