【ジャスミン】あの日。
太刀川さんがこう言ったんだ。
「なぁ、迅。もし俺たちに明るい未来ってのがあるとして、その時、俺と一緒にいるつもりは無いか?」
*****
三年と少しの歳月を経て、太刀川さんと和解した。
いや、和解というのもおかしいか。
風刃を手にして距離を置いたのは俺で、太刀川さんは特に変わりはなかった。ように見えた。
会えば普通に話をしたし、冗談のように風刃を手放してA級に戻れなんて言われた事もあった。
それに答えることは無かったけれど、変わらない態度に安心を覚えていたのも確かだ。
A級に戻ってからは、顔を見る度にランク戦に誘われていた。
そして、あの言葉を言われたんだ。
憎からず想っていた俺は、あのワクワクする日々の再来の予感に気分が上がっていたのか、いいよと応えてしまっていた。
6162