タラシはそっちでしょ!?「はぁ~疲れた今日も生きてるよ~それよりお腹減ったよ~」
大嫌いな任務を終え腹ペコの身体で蝶屋敷に戻るとあれ?炭治郎の声がする。炭治郎の奴今日は任務無かったんだなぁ~ちょっと羨ましく思いながら声が聴こえる縁側に向かう。
「お~い、炭治郎ただい…ま…」
声を掛けようとしたがついやめてしまった。
炭治郎の他に縁側にはもう一人いた、あれ確かは霞柱…時透無一郎。
刀鍛冶の里から戻って来て以来炭治郎と霞柱が仲良く話している姿を時々みかけるようになった。自分よりも年下だが相手は柱だ挨拶すべきだと言うことは重々承知しているが、なんか…行けない…しかも霞柱ってちょっとオレの苦手なタイプなんだよなぁ…炭治郎はいい奴だ、一度でも一緒に任務に着けば誰だって炭治郎を好きなるのは分かる。分かるけど…
何だろう…炭治郎が誰かと楽しそうにしているだけでモヤモヤするのは…よく分からない感情が時々起こるのだ。
まぁ…いいやとりあずキヨちゃんたちに何か食べる物無いか聞いて来よ、それに炭治郎の近くに珍しく禰逗子ちゃんの姿がないからきっとキヨちゃんたちと一緒に居るのかもしれない。
そうだ!そうだ!早く禰逗子ちゃんの顔見て癒されよう~オレは誤魔化すように縁側を後にしようした時
「痛い!」
大きな何かにぶつかる。
「お前しっかり前見みて歩けよ、まさか寝てるなんてことないよなぁ~?」
この声は?
「宇随さん?どうしてここに?」
「う?定期的に腕と目見てもらってるだよ胡蝶に」
オレがぶつかったのは元音柱の宇随さんだった。
宇随さんは遊郭での戦いで片腕と片目を失い惜しまれながら柱を引退した。今は鬼殺隊の育成に力を注いでいる。
なんだかんだでこうして面と向かって会うのは久しぶりだ。
「そうなんですか、オレは今から禰逗子ちゃんを探しに行く所なんです」
つい顔のイイ宇随さんを見ると冷たくあしらってしまう。醜い嫉妬だ。でもやっぱりイケメンはズルい。
「それは残念だが、竈門妹とあのちっこい娘たちは町に遣いに行ったってさっき胡蝶が言ってたぜ?」
宇随さんはオレの態度を特別気にするようすもなくいい放った。
「そ、そんな~オレ、必死に任務頑張って来たのに~あんまりだ~」
告げられた現実にオレは思わずその場にへたれこんでしまう。
「相変わらずお前、大袈裟だな!」
「そんな事言ったて~」
ぐぅ~と大きなお腹の虫が鳴る。腹ペコ過ぎて
泣く元気もないかも。
「しかねぇなぁ~特別だぞ!」
オレの前に一つの包みが差しだされる。クンクン!この甘くていい匂い…
これは…
「これ!人気の甘味屋の饅頭じゃないですか!?どうしたんですか?」
「雛鶴たちが蝶屋敷の奴らにって渡されたんだよ、で腹がすき過ぎて可哀想なお前にやるってわけよ」
「ほ、本当ですか?」
「おう!俺様に感謝しろよ!」
「はい!ありがとうございます!宇随さんのお嫁さんたち!」
「オレには言わねぇのかよ!」
「まぁ~まぁ~細かい事はおいといて早く食べましょうよ!」
「全く調子いい奴だなぁ…お前」
呆れる宇随さんと一緒にそうだ、縁側には炭治郎と霞柱が
「う?どうした?」
「なんでもないです、宇随さん向こうで食べましょう!」
本当はここで炭治郎にも声かければいいだけどオレにはそれが出来なかった。
「おい、縁側に居るの竈門だよなぁ?どうしたんだ仲いいお前が?」
ギック…
「う?一緒に居るのは…時透じゃん…そういえば刀鍛冶の里から戻って来て以来時透、竈門に随分と懐いてるみたいだよなぁ~」
「た、炭治郎はいい奴です、誰にでも好かれるのは、当たり前ですよ…」
「ははぁん?お前、竈門取られて妬いてるのか?」
「はぁあ!何訳のわからないこと言っているですか?嫉妬?そんなんじゃないですよ!それに炭治郎は誰のモノでもないですし、しいて言うなら禰逗子ちゃんのモノですが!」
「まぁ…良いけどよ、じゃあオレたちは向こうで饅頭食うか!」
大きな手でぽんぽんと頭を軽く叩かれ宇随さんは縁側と反対方向へ歩き出した。
「ま、待って下さいよ~」
「美味い!美味すぎるですけど~」
はぁ~やっぱり疲れた身体には甘い物だよなぁ~
いつか禰逗子ちゃんにも食べさせてあげたいなぁ~
「お前、よく食うなぁこんな甘い物、女みて」
「食べ物の好みに男も女もないですよ~だ!」
「そうだけどよ」
「宇随さんは食べないですか?」
「オレはそんなに甘い物得意じゃないだよ」
「もったいない~こんなに美味しいのに」
オレはもう一つ饅頭に手を伸ばす。
美味しい…美味しいけど…
「どうしたんだよ?いきなり静かになって」
「なんでもないです!もう一つ頂きます!あぁあ~こんな美味しいの食べないなんて宇随さん損してますよ!」
ハフっと饅頭を口に運ぶ
うん!美味しい!
「そうかよ…じゃあ味見だけでもすかな」
「どうぞ~ってこれは宇随さんがくれたのか…っう?」
顔に影が落ちる。
っえ!?何?ちょっと待て!宇随さんなんか顔近くない?そう思った瞬間
頬に柔らかい物が一瞬触れる
「うん!やっぱり甘いな!オレはこれだけで十分だ!」
え、何、オレ今何されたの?
「おい?大丈夫か?」
「い、今あんたオレに何したの!?」
「うるせ~奴だなぁ~ただ頬についた餡を取ってやっただけだろ?」
「取っただけってアンタ!オレに」
「う?まぁ~いいだろ?」
「よくない!男のアンタにしかも、し、舌で」
「あぁあ~うるせ~うるせ~ちったは元気出たかよ」
「っへ?」
「お前、会った時から変な顔してたからよ~」
「変な顔って喧嘩売ってます?」
「そう怒るな、こっちは心配してやってるだよ!」
「心配するならもっとまとも方法無かったんですか?」
「なんだ、今のじゃつまらないってか?じゃあこっちがよかったか?」
待って、待って何でそうなるの!
いい顔がオレに近づいてくる。
ヤバいこのままじゃ本当に宇随さんと
「ブハァ~するわけないだろ?」
「へ?ってまたアンタオレを!」
「まぁ~さっきから覗いている奴が怖いからな~」
覗いてる?
っえ、た、炭治郎?いつからそこに?
てか聞いたことない音がするのは気のせい?
「オレは、嫁さん待っているかここらで帰るぜ」
「宇随さん…」
「ッフお前よりアイツの方が重症かもな、はぁあ嫉妬は怖い、怖い」
「う?」
ぽんぽんとまた頭を叩き宇随さんは帰って行った。
「た、炭治郎?そのただいま…」
「お、お帰り、善逸…」
なんか炭治郎変?
「善逸が帰って来た匂いがして来てみたら、宇随さんと楽しそうだったな!邪魔して悪かった…」
「別に邪魔じゃないけど、炭治郎声かけてくれてもよかったたんだぞ」
「そうなんだが…」
変な間が…
「そ、そうだ!炭治郎も食べる?宇随さんがくれた饅頭?すげぇ美味しい饅頭なんだよ」
「善逸!」
「な、何?」
「その、善逸は誰のモノでもないって事は重々承知だが…その、宇随さんと仲がいいのは大変良いことだと思う、だが…」
「だが?」
「その~なんだ~だから…あぁあ~オレは何が言いたいだ!」
「だ、大丈夫?炭治郎?さっきから変だよお前?大丈夫」
「善逸!」
「は、はい!」
「オレ以外の前で楽しそうな善逸見るとなんだかモヤモヤするんだ!だから!あんまり、人をタラさないで頂きたい!」
「っへ?…」
何言ってんの炭治郎、そっくりそのままその言葉炭治郎に返したいですけど!
「待ってよ!人タラシなのはむしろ炭治郎だろ?!!」
「善逸オレがいつ何をしたんだ!?」
「はぁあ!?」
なんかオレ、今日は炭次郎と宇随さんに振り回されている気がする。
「善逸!オレはタラシてない!」
「無自覚かよ!怖!」