ゆめ。「…へ?」
目を開ける。
とん。と足に小さな衝撃を感じて足元へ目を向ける。
足が、体を支えていた。
その足に寄り添うように白と黒のサッカーボールが寄っていた。
瞬時にこれは夢だと自覚をした。
サッカーと、距離を置いてしまった。
数ヶ月前に起きた事故で、潔は2つ失った。
夢を叶えられなくて、それが嫌で、自覚をしたくなくて、目を逸らしたのだ。
足が動かない。
だから支えてる足の感覚が懐かしくて、恨めしくて、泣きたくなった。
良い歳をして、情けないものだ。
夢でしか、サッカーを出来ない。否、夢でもできない。
だって、潔の足は動かない。
「いさぎ。」
俯く潔に、声が聞こえた。
がばっ、と勢い良く顔を上げる。
だって、この声。
楽しくて、煽るような、大好きな、もう聴けない声だったから。
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