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    こまつ

    @shimamorota

    整理用
    供養と自主練と書きかけ 総じてらくがき

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    こまつ

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    一つ前に上げた『P O O L』の後日談のようなものです。

    #リゾプロ
    lipoprocessing

    お前の投げたこの花が(『P O O L』番外)「ところで」執務机に向かい、提出されたばかりの海外出張任務の報告書に目を落としながらリゾットは事務的に尋ねた。「結果は?」
    「そこに報告済みだ」背後から覗き込める位置に立ちながら、それとは真逆を向きプロシュートは事務的に答えた。「ところで」
     プロシュートは続けた。「オレのブレイクショットでポケットしたのは何番ボールだった?」
     一度は素知らぬ顔でさらりと躱した意図を投縄で引き戻すような問いかけに、リゾットは訝しみを覚えつつも記憶を手繰った。
     確か、手番を変わった自分が落とした的球は連番だった。そして最終的にテーブルに残ったのは2つ、7番と9番。つまり、
    「そう、8番」
     リゾットの脳裏に浮かんだその色球のイメージを覗き見たようなタイミングでプロシュートが後ろから言った。
    「誰かの大掛かりなトリックショットと違って、狙ってもねぇのに、勝手に、我先と落ちたんだよ。こういう――」
     頭巾越しの後頭部が広げた指でそっと撫でられ、後ろ首に風が通る。
    「真っ黒のが」
     捲り上げられた布地の下の項に落ちた柔らかな温い感触が、たちまち鋭く熱い疼痛に変わった。
    「ハ、悪ィ! くっきりいっちまった!」遠慮なく吐かれた温い息が耳朶を掠め、今度は取ってつけたように潜められた声がやんわりと耳孔を宥め賺す。「この暑ッ苦しいモン、今日は迂闊に脱げねーなァ?」
     リゾットは椅子ごとゆっくりと振り返った。
    「“キスショット”ってとこかな」間近に迫る整った顔が悪びれず、そんな名称の技法を名ばかり引用する。「おまえにだけ見せ場やんのも癪だろ」
    「……つまり?」
     至近距離で見つめ合った矢先、ドアが4度鳴った――つんのめるように2度、一呼吸置き、襟を正して2度。
     またも唐突に割り入った、かの特徴的な4分の2拍子に瓜二つのリズムに、ふたりは絡んだ視線を引きちぎるように解いた。
     気散じに打ちつけられた拳の持ち主は、外から戻ったばかりのホルマジオだった。
     部屋の主の返事を待って入室するなり、「よォ、来てたのか」と汗を拭いつ声をかけた訪問者に、既にドア前で迎える位置に移動していた先の訪問者は涼しい顔で似た反応を返し、「つまり」と後ろに声を飛ばした。
    「あんま調子乗んじゃねーぞ」
     片手を上げて軽く言うとプロシュートは出ていった。
    「お。捨て台詞、ってやつだ」とホルマジオの目はどこか嬉しげにその後ろ姿を見送った後リゾットを捉えた。「揉め事か?」
    「いや……勝負事だ」
    「そりゃあの負けず嫌いに勝ちゃあオメェ、調子にも乗るわなァ?」
     気安い言葉に少し表情を緩めつつ、リゾットは続いた飲みの誘いを断った。
    「すまないが今日は」仮初めの理由を幾つか頭に浮かべた後、端的に言った。「駄目だ」
     暗がりの中、頚椎の茎の脇にひっそりと開いた小さな赤い花が放つ甘くスパイシーな香りは、日暮れから一層芳しく、そして朝まで漂いながら、知らしめ続けることだろう。あの白い頬が、金色の髪が、碧い瞳が、薔薇色の唇が、時にはここにあって、今はここにないことを。ここにない以上、どこかにはあることを。あるいは、そのどこかで上気し、ほつれ、潤み、震え綻び――
     不意に訪れては調子を狂わせるあの不整脈のような独特のリズムが鼓動に乗り移り、駄目だ、と思わず口をついていた。外れた当ての代わりを探るよう、まだいるだろうかとドア向こうを振り返っていたホルマジオは、不満げに口角を下げた。
    「アイツも?」
     リゾットは少し黙ったあと、アイツも、駄目だ、とあらためて口にした。


    (了)
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    こまつ

    MAIKING[概要]
    現パロ?パラレル? 21歳のRと、Pの出会い
    [備考]
    ・現代日本的な世界観
    ・診断メーカー(ID878367)より、『RPのBL本は
    【題】通り雨
    【帯】正反対なのに妙に惹かれ合う不思議な関係
    【書き出し】そういえば今日の星座占いは最下位だった。
    です』
    ・『このお題で書いたRP絶対オリジナルになってしまう説』検証第二弾
    [更新履歴]
    23.10.22 ☆まで
    deliveryそういえば今日の星座占いは最下位だった。そんなトピックの期限も残り一時間を切った。時刻だけを素早く確認して消灯したスマホを黒いパーカーのポケットに仕舞い、リゾットは闇に呑まれた公園のベンチの上から、十数メートル先のマンションの明るく切り取られた玄関口を引き続きじっと見つめる。

    ここ数年で急速に開発が進んだ駅前の一帯は、真新しい美容室やチェーンの飲食店の新店舗、モデルハウスのような住宅と、良く言えば比してレトロで味がある外観の理髪店や中華料理屋や民家などが混在していた。
    新しく整備された片側一車線の広い市道と、一方通行ですら難儀する狭く古い道が交差する角にぽつんとある猫の額ほどの公園は、明らかに後者のグループだった。曲がり角に立ち並ぶ二本の銀色のポールの合間から中に入れば、日当たりの悪い敷地中央には、過度に湿った重い砂をたたえた砂場と錆びた滑り台が一つ。出入り口の側に唯一立つ街灯は時計付きだが、文字盤の上の針は静止している。敷地際、離して置かれた二基の朽ちかけたベンチからの眺めといえば、手前から、件の砂場と滑り台、見過ごしそうな手洗い場、手入れのされていない植え込みとポールと街灯、その向こうに歩道、広い車道、広い歩道、そのまた向こうに三棟並びそびえる高層マンションの低層階、そこで行き止まる。
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