The monster in the child's roomThe monster under the bed.―――「子供部屋のベッドの下、或いはクローゼットの中には恐ろしい怪物が潜んでいる」とは、欧州の子供たちが一度は恐れる怪談である。例に漏れずデイビットも、またそのひとりであった。
父親がいる夜はいい。ベッドの下から這い出てきたモンスターに襲われても、デイビットの悲鳴に気づいてきっと助けにきてくれるからだ。でも、父のいないひとりきりの夜は怖い。そして、仕事に忙しい父であるため、大抵の場合デイビットひとりで夜を過ごさねばならなかった。
夕食と歯磨きを済ませたデイビットはベッドに飛び込んだ。ひとりきりの家で、デイビットは目のすぐ下までブランケットを引き上げる。天井には薄青い闇がどこまでも広がっていた。
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