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    syako_kmt

    むざこく30本ノック用です。
    成人向けが多いと思うので、20歳未満の方はご遠慮下さい。

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    むざこく30本ノック③
    延長戦最終日
    ラストダンスを踊るビジパ

    #むざこく30本ノック
    random30Knocks
    #むざこく
    unscrupulousCountry

    ラストダンスを踊るビジパ 静かな夜だった。
     最近、無限城の中で板張りの広間を作り、アーチ型の天井に合わせ輸入したばかりの華やかなシャンデリアを設置し、窓はステンドグラス、柱には唐草模様の細工が施されている。
     壁紙も輸入した最高級の物を使い、政府肝煎りの迎賓館よりも豪華なダンスホールがこの地下深い無限城には作られているのだ。
     無惨はそこでひとり、手に入れたばかりの蓄音機で音楽を流す。
     手回しのゼンマイ式で西洋の音楽を流す。ワルツという曲調を好むようで、機嫌の良い時は流した音楽に合わせて歌っている姿を黒死牟は何度も見かけていた。
     掠れたレコードの音と軋むゼンマイの音。
     本当に静かな夜だった。
    「黒死牟」
     無惨に呼ばれ、足元に跪く。
    「朝日がどんな色をしていたか、お前は覚えているか?」
     朝日に良い印象などなかった。
     陽が昇る前に起き、剣の稽古をしても、縁壱には遠く及ばず。
     鬼狩りの時、命を削り戦っても終わりは見えず、朝日を見るのは今日が最後かもしれないと常に思っていた。
    「もう忘れました……」
    「そうか」
     ぼんやりとシャンデリアを眺め、無惨は黒死牟の手を握った。
    「付き合え」
    「ですが……」
    「私に合わせれば良い」
     無惨からの指示に合わせて足を動かす。体を密着させ、スローワルツを二人で踊った。
    「長かった戦いがやっと終わる」
    「はい……」
     板張りの床に無惨の踵の音が小気味良く響く。その軽やかな音色はまるで歌っているようであり、言葉以上の感情を語り掛けてくる。
     この数日、千年動くことのなかった無惨の歴史が大きく動いたのだ。

     太陽を克服した鬼が現れ、産屋敷の居場所も解った。
     長い年月を生きた無惨にとっての、ほんの数百年、供を許された。
     未だに和装で帯刀した自分とは違い、無惨はいち早く短髪に洋装となった。それは無惨にとって変化ではなく、時代に即した人の営みに馴染んで生きてきたのだ。
     誰よりも人に憧れ、人でありたいと願った心の現れだろう。豊かな暮らしの為に働き、新しい知識を得て、その好奇心を満たし、その身を美しく飾り、日の光に負けないほどに華やかな暮らしをしていたが、夜空の下でしか生きられないのだ。
     その閉塞感がどれほど無惨の心を苦しめたか、想像すると口惜しい気持ちになる。
     願いの為に千年、藻掻き続けた日々が終わるのだ。

     しかし、何故だろう。
     足音はこれほどまでに軽やかなのに、無惨の表情はどこか浮かない。
     黒死牟はダンスに意識を集中させる頭の片隅で、そんなことを考えていたが、そのことについて無惨は心を読みつつも一切触れなかった。
    「時間だ」
     黒死牟から離れ、懐中時計で時間を確認する。
    「万が一の為、城で迎撃する準備をしておけ。指揮はお前に任せる」
    「御意」
     外套を翻す後ろ姿に、黒死牟は深々と頭を下げた。
    「ご武運を……」
    「あぁ」
     こうして無惨を送り出すことなど初めてのことだ。
     自分を鬼にして、つらく苦しい闇の中から救ってくれた。
     その上、欲しくて堪らなかった「壱」という地位に加え、永遠の命と剣の腕を磨く力を与えてくれた。
    「黒死牟」
    「はい」
    「明日の朝日は共に見るぞ」
     そう言い残して、琵琶の音と共に姿を消した。

     怖いくらい静かな夜だった。

     自分にはあの後ろ姿を止める力はない。寧ろ、この胸騒ぎを不快と捉えていただろう。あの喜びに水を差し無粋なことをしたと悔やんでいた。
     だが、自分にはあの方の真に欲したものが何だったのか解らなかった。
     あの方は自分の欲しかったものを、すべて与えてくれたのだ。
     太陽を克服する力などいらない。
     ただ、こうして静かな夜を生きたかった。
     彼の愛したワルツとリズムを刻む靴音があれば、それで良かったのに。
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    TRAININGむざこく30本ノック④延長戦
    7日目
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく
    シンプル、カジュアル、ラフなペアコーデで、公開用のオフショットを撮影するむざこく 無惨と黒死牟が仕事上だけでなく私生活でもパートナーであると公表してから、どれくらいマスコミに囲まれ、あることないこと書かれるかと心配していたが、取り立てて大きな生活の変化はなかった。
     職場は二人の関係を元から知っていたし、世間も最初は騒ぎ立てたものの「鬼舞辻事務所のイケメン秘書」として有名だった黒死牟が相手なので、目新しさは全くなく、何ならそのブームは何度も来ては去っている為、改めて何かを紹介する必要もなく、すぐに次の話題が出てくると二人のことは忘れ去られてしまった。

     そうなると納得いかないのが無惨である。
    「わざわざ公表してやったのに!」
     自分に割く時間が無名に近いアイドルの熱愛報道よりも少ないことに本気で立腹しているのだ。あんな小娘がこれまたションベン臭い小僧と付き合っていることより自分たちが関係を公表した方が世間的に気になるに決まっていると思い込んでいるのだが、職場内だけでなく国内外でも「あの二人は交際している」と一種の常識になっていた上に、公表を称えるような風潮も最早古いとなると、ただの政治家の結婚、それだけなのだ。
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    TRAININGむざこく30本ノック③
    15日目
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか
    「ほら見たか!これで恐れるものなぞ何もないわ!」とかつてないほど昂るのか、「案外大したことないわ、つまらんな」と吐き捨てるのか、「太陽の方がやはりお好きで?」「白昼にも月は出ておるわ馬鹿者」みたいな気楽な会話になるのか
    陽光のもとに並んで立てるようになった二人が、それぞれ何を思って何を語らうのか  それは初恋の憧れに似ていた。
     手の届かない遠い存在という意味か、遠い昔の燦爛とした断片的な記憶のせいか、その強い「憧れ」が根底にあるから黒死牟とは意気投合したのかもしれない。
     自分たちにとって太陽とは最も忌むべき存在であり、その反面、強く憧れ、恋い焦がれた存在であった。
     今でも朝日を見ると、今際の際を思い出し身構える。しかし、その光を浴びても肌が焼け落ちることはなく、朝が来た、と当たり前の出来事だと思い出すのだ。

    「今日も雲ひとつない晴天ですね」
     黒死牟が車のドアを開けると、その隙間から日の光が一気に差し込む。こんな時、黒死牟のサングラスが羨ましいと思うのだが、まさかサングラスをしたまま街頭に立ち、演説をするわけにはいかないので日焼け止めクリームを丹念に塗り込む程度の抵抗しか出来ない。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    13日目
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう
    零余子、上司共へのストレス発散にBL同人誌にしてしまう 今日もやっと1日が終わった。
     朝から晩まで、あの鬼上司2人に扱き使われたのだ。
    「おい、零余子!」
    「はい!」
    「零余子!」
    「はいー!!!!」
     多分、この数年で確実に親より名前を呼ばれている。これまで割と要領良く生きてきたので、こんなに怒鳴り散らされることはなかった。
     初めは鬼舞辻事務所に就職が決まり大喜びした。
     今をときめくイケメン政治家、鬼舞辻無惨の下で働けるなんて……その上、彼は独身。もしかして、もしかする、未来のファーストレディになれるようなルートが待っているかもしれない!? と馬鹿な期待をして入職したのだが、それは夢どころか大きな間違いだった。
     毎日怒鳴り散らされ、何を言っても否定され、無惨だけでも心がバキバキに折れそうなのに、これまたイケメンの秘書、黒死牟が更にエグイ。まず行動原理が「無惨様のため」なので、無惨の怒りを買った時点で、どんな言い訳をしても通用しない。こちらに非が無くても、無惨に怒鳴られ、黒死牟にネチネチと嫌味を言われ、最悪のコンボが待っている。
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    syako_kmt

    TRAININGむざこく30本ノック③
    17日目
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション
    黒死牟が髪をバッサリ切った時の無惨様のリアクション 何か理由があって髪を伸ばしているわけではない。
     長い髪って手入れが大変ですよね、と言われるが、実はそうでもない。短い髪の時は月に一度は散髪に行かないといけなかったが、長い髪は自分で毛先を揃えるくらいでも何とでもなる。女性と違って髪が傷むだの、枝毛がどうだのと気にしたことがないので、手入れもせず、濡れた髪を自然乾燥させることにも抵抗がない。それに短い髪と違って、括っておけば邪魔にならないので意外と便利だし、括っている方が夏場は涼しいのだ。
     つまり、ずぼらの集大成がこの髪型だった。
     特殊部隊に入った時、長髪であることにネチネチと嫌味を言われたこともある。諜報活動をする時に男性のロングヘアは目立ち易く、相手に特徴を覚えられやすいから不向きだと言われ、尤もだなと思ったが、上官の物言いが気に入らなかったので、小規模な隠密班を編成する際の長に選ばれた時、全員、自分と背格好が近く、長髪のメンバーだけで編成し、危なげもなくミッションを成功させたことがある。だが、自分の長髪にそこまでこだわりがあったわけではなく、単なる反発心だけである。
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