タイトルはまだ未定 序 章
ナナキがそこを訪れたのは、ある約束のためだった。
かつて、星を憎んだ男の手から星を守るために立ち上がった人々の中で、最も無口だった仲間――ヴィンセント・ヴァレンタインと再会を果たすために。
――年に一度。ミッドガルで――。
長命ゆえ、出会った仲間が皆、自分より先に星に還ってしまうことを恐れ、その喪失感に『ギリガン』とまで名前を付けていたナナキ。そんな中、仲間の一人であったヴィンセントと再会し、心の内を吐露した結果、年に一度ミッドガルで、彼に話を聞いてもらうという約束をした。
メテオの後、大混乱を極めたミッドガルには今でも、星痕症候群に倒れた大勢の住民が眠っているという。あの日、空からミッドガルを見ていたナナキを始め、仲間たちは誰もが、メテオ以外の混乱がミッドガルを襲っているとは、夢にも思っていなかった。
2178