なっ!?シフト代わってくれくれるんすよね!!/シン大「小さい子が咳するの見てると凄く辛そうでさぁ」
バレンタインが近い月曜日の厨房はチョコレートの匂いに包まれて、なんて甘い雰囲気ではない。どちらかと言えば閉店後の片付けに追われていて料理の提供を終え回収された皿やグラスでシンクや調理台は犇めき合っていた。カップルへの提供もこの時期はいつもより増すから返却の皿も比例する。キャストが甘く蕩けるような台詞や所作を魅せるのは表でだけ、客の前でだけだ裏方にそんな甘さなどは微塵もない。
「流行り風邪やインフルエンザが蔓延しているからな…子供なら症状も酷いだろう」
シンが皿の泡を流し隣のギィにそれを渡す、黙々と拭き取っては積み上げていく。食洗乾燥機の稼働と同じくらいの働きを魅せる二人を見ながら金剛は通勤途中に見かけた親子の話を続けた。
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