家族になりませんか「お、おわらねぇ……」
師走とはよく言ったもので、年末進行のこの時期は次から次へと締め切りが迫ってくる。部数が落ち込んでいた頃を思うと、ありがたいことではあるが。
ガタガタとキーを叩き続けること、八時間。休憩をはさみながらではあるが、そろそろ集中力が途切れてきた。
「……ちょっと、休むか」
ハァとため息をつき、椅子から立ち上がる。クキ、パキ、と小さく関節が鳴った。
部屋のドアを開けると、小さな友達にニャアニャアと纏わりつかれ、あまり構えなくてごめんと謝りながら頸をくすぐったり頭を撫でたりしていると、ささくれた心が幾分落ち着いてくる。
いつまでも撫でていたいが、今日中が締め切りの文芸誌への短編寄稿が残っている。
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