恋のライバルなどいやしない 「ねぇ、ビラール。その…気になることがあるんだけど…」
「なんだ?私が答えられるることなら答えよう」
「えっと…えっとね、ビラールってその…ファランバルドに…許嫁とかいたり、した?」
私の問いに瞬きを繰り返すとビラールは大きく口を開けて笑い出してしまう。
「な、なんで笑うの!?私は真剣なのに!」
「ああ、悪い。お前が真剣なのは知っているとも」
そう言ってビラールは私の額にキスをするが私の機嫌はそれでなおるようなものではなくますます頬を膨らませた。
「機嫌をなおしてくれ、ルル。おかしくて笑ったのではない…嬉しかったのだ」
「嬉しい?」
「ああ。勿論、事実私には許嫁はいない。祖国のことで手一杯だったからな。だが、ルルはそれを気にしてくれた…つまりはいない許嫁に嫉妬してくれたということだろう?」
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