私だけの魔女 「ご注文の『ヴォルカノ・ボッカ』です〜」
店員の言葉と共に運ばれた『ヴォルカノ・ボッカ』に嬉しそうにルルは歓喜の声を上げた。
「しかし、戻ってきて初めてのデートが『ヴォルカノ・ボッカを食べること』とは…本当に良かったのか?」
「ええ、だって食べたかったのは本当だもの。過去でビラールと『ヴォルカノ・ボッカ』の話をしてからどうしても食べたくなってしまって」
クリームを入れながらルルはそう言った。
「ふ…、」
「…今、笑う要素あった?」
「いや、我が妻は相変わらず無欲だなと思ってな。逆に私が困ってしまうほどに」
「…私はビラールといられるだけで幸せなのに」
「もっと幸せにしたいと思うのはだめか?」
「だ、だめじゃないけど…でも、無理はしないでほしい」
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