解かれる想い 積怒には恋人がいる。でも恋人には想い人がいて、そのれは自分のもう一人の弟。恋人の本当の気持ちに気がついたのは最近のことだ。同じ家。想い人が眠っているであろうあの部屋に乱れた声が届かぬよう必死に口元を押える恋人を、悔しさに身を任せて貫いた。
……
いつもより手荒に抱いてしまった恋人を労わろうと腕の中に包んだが、居心地が悪そうに身を捩られた。いつからだろうか、背を向けて抱かれるようになったのは。いつからかだろうか、自分から愛を伝えねば空喜からの返答がなくなったのは。いったいいつから、彼の心はここになかったのだろう。肌を重ねる頻度はそう多くはなく、特にここ数ヶ月は自分の課題に追われてその変化に気づくのが遅れてしまった。
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