投げられたのは賽か匙か どうして、どうして『あんな事』をしてしまったのだろう。
ただ、みんなと離れたくなかった。
それがただのワガママだったとしても、もっとみんなと一緒にいたかった。
それだけ、本当にただそれだけだったのに。
都会に戻った家の中で一人、リビングのテレビの前にあるソファにうずくまってそんな後悔をずっと抱えている。
あの日、逃げる様に戻ってきた都会の外は今日も霧に覆われている。
……きっと、八十稲羽も。
「___っ」
そんな考えがよぎって、また胸が苦しくなる。
こんな気持ちになる権利なんて俺には無いのに。
どんな理由が、事情があっても、みんなを裏切った事には変わらないのだから。
だからと言って、もうどうしようもない。
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