とあるよる 雪が窓を叩いて、部屋の温度に触れてとろりと溶けていく様をベッドから眺めていた。
雪境の冬は尚もって寒さが厳しくなるが、暖かい寝室でふたり、布団にくるまって過ごすにはちょうどいい。
長い夜を過ごすための上手い誘い文句も思い付かないので、「今日は冷えるので」だの「暖炉の薪がもったいないから」と理由をつけては度々旦那様の懐に潜り込んでいた。
そして、今夜も同じように。
「これって、フェリーン特有の癖なんですかねえ」
すっぽり腕の中に収まりつつ、顔を伺う。
表情は彫刻のように端正で、閉じたまつげの影が濃く長く頬に落ちている。
それなのに聞こえるのは、猫丸出しのゴロゴロと喉を鳴らす音。
思わず吹き出してしまうのをこらえて顎下をくすぐってみると、耳がひくひく動いて、また気持ち良さそうに喉が鳴った。
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