墓囚短文①客を招くだなんて、緊張する。
部屋を歩き回り、何度も準備に遺漏はないかチェックをした。暖炉の前には小さなテーブルに二脚の椅子。
ティーカップと受け皿を並べて、キッチンから拝借したビスケットを皿に盛った。
足りないものは何も無い。あとは愛しの彼が来るのを待つだけだ。
外では肌を刺すような風が吹き荒び、窓をガタガタと揺らしている。
部屋の中は暖炉の火があかあかと燃えて、居心地がいい。ルカは向かいの椅子に腰掛けていて、その頬は炎の熱でほてっている。
触ると燃えるように熱いのだろうか。
触れて、その熱を確かめてみたい。
なんてそんな勇気僕にはまだ無い
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ルカは夢想した。
自分の頬を、白い手で包まれる事を。暖炉の炎の熱のような熱い彼の手。瞳は踊る炎のように燃えていて、それをじっと見つめていると喉が熱くなって、カラカラに乾いた。
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