Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    chanuitei

    だいごの創作はこちらにアップしております
    囚人愛

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 13

    chanuitei

    ☆quiet follow

    20210717
    第41回墓囚ワンドロ・ワンライ
    お題は『来世』

    #墓囚
    prisonerOfTheTomb

    このまま愛し 殺されてしまえればなんて幸せ僕の狂った世界の中は皆醜かった
    救いを求めて向かった荘園も、醜人達の集まりだった。でも、その人達は化け物の僕にも親切に接してくれた。そこは不思議な場所だった。
    そんな中でも、一際醜い男がいた。
    囚人服に、首には鎖を身に付けていかにも罪人といった見た目の男は、化け物の僕よりも醜くて、誰よりも綺麗だった。
    罪人に対してそう思ってしまう僕は、もしかして狂っているのだろうか。
    人とは違う見た目の僕を、あいつは笑い飛ばした。
    そして、こう言った。
    「この世界を蝕んでいる昔からある病気の名は「偏見」だ。
    たまたま君は人と違う見た目に生まれてしまっただけで、誰しもが起こりうる事。
    つまらない優越感で人を罵る言葉に、傷つく必要なんて無い。そんな奴らを相手にする時間も勿体無い」
    そう言って微笑む優しい色をした瞳。
    この目に魂を奪われてはいけない
    虜になってしまうから。
    危険だ。この瞳は危険だ。逃げろ、逃げなくては。
    この瞳に捕まってしまう!
    それが恐ろしくて、僕は枷の隙間に手を伸ばして、手に力を込めた。
    男は、一瞬ぽかん、とした顔をしたが、僕を見つめたまま笑った。
    「来世では、私達、普通に出会えるといいね」
    そう言って、男は笑った。
    その眩しい残像が目の奥に焼き付いて離れない。
    もう既に、この目に魂を奪われてしまった。
    このまま、力を込めれば枝を折るように簡単にこの細い首は折れてしまうだろう。
    だけど、いくらそれを実行しようとしても謎か力らが入らなかった。
    そんな僕の手をとって、男はそっと僕を抱き寄せた。
    腕の中は暖かくて、僕はまるで産まれたての赤子のように男の腕の中で泣きじゃくったあと、ただ朝まで抱き合ったまま眠った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭🙏💯💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    chanuitei

    DONE #墓囚版深夜の60分一本勝負
    2021.12.18
    お題『横顔』
    お借りしました。

    荘園を出たあとのお話
    横顔あれから、もう何度季節を見送っただろうか。

    荘園でのゲームをクリアして、各々が自ら望む場所へと帰っていった。荘園で出会った一部の人間とはたまに手紙のやり取りをしている。中でも、ビクター・グランツとはよく連絡をとっている。手紙の内容は代わり映えのない近況報告。それでも、友人と呼べる人間なんていなかった僕からしたら、とても価値のあるものだ。
    荘園でのゲームはクソッタレな内容だったが、大金以外にも僕に沢山のものを与えてくれた。

    一つ目は他人との関わり方……いや、この言い方だとビクターに怒らてしまいそうだから
    、友人、と言い変えよう。
    ゲームは他サバイバーと協力、意思の疎通ができないと勝てない。これが僕にはとても難しかった。化け物の僕となんて、誰も話したがらない。ましてや、協力なんて無理な事だ。そんな僕に荘園のメンバーは根気よく付き合ってくれた。中でも、同じ頃に荘園に来たビクター、ルカは僕に寄り添ってくれた。ルカとは言い合いにもなった。ルカは柔らかそうな顔の裏でとても頑固で自分の意思を曲げない。一度火がつくと感情を面に出すくせに、ほとぼりが冷めると言い過ぎたとしょぼくれる。そんな僕達をビクターは呆れることなく、見守ってくれていた。
    1413

    chanuitei

    DONE #墓囚版深夜の60分一本勝負
    2021.09.11
    お題「鮮やか」お借りしました。
    花ざかりアンドルー・クレスのとある日の日記

    ++

    荘園には鮮やかな花が咲いている。庭師の女……エマ・ウッズが手入れをして花を咲かせているらしい。風に乗って香る花の匂いを肺いっぱいに吸い込むと、心に暖かいものが灯る。
    花は、好きだ。晴れた日の庭に出て、花を愛でたいが太陽は僕の肌を焼き尽くそうとしてくるので、それは叶わない。
    若葉が育ち、蕾ができて、いのちにみちあふれていま開こうとするその瞬間をできるのであれば、僕は沢山見てみたい。青く澄んだ空の下で太陽の下でキラキラと光る色とりどりの花達。その花の周りを飛ぶ蜜蜂。花咲くことは命の誕生だ。その光り輝く命の中に僕はいられない事が凄く寂しくて、そして羨ましかった。
    この荘園に来てからも、僕は隠遁とした生活を送っている。共に戦うサバイバーとは、ゲームをする上での最低限のコミュニケーションをするだけ。一部の奴等は、僕がテーブルに俯いて誰とも目を合わさないようにしているのに、そんなのお構い無しに話しかけくる。そいつらには真っ白で化け物と罵られてきたこの見た目が、普通の人間に見えているらしい。変な奴らだ。
    1163

    related works

    recommended works