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    chanuitei

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    囚人愛

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    chanuitei

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    #墓囚
    prisonerOfTheTomb

    墓囚短文①客を招くだなんて、緊張する。
    部屋を歩き回り、何度も準備に遺漏はないかチェックをした。暖炉の前には小さなテーブルに二脚の椅子。
    ティーカップと受け皿を並べて、キッチンから拝借したビスケットを皿に盛った。
    足りないものは何も無い。あとは愛しの彼が来るのを待つだけだ。
    外では肌を刺すような風が吹き荒び、窓をガタガタと揺らしている。
    部屋の中は暖炉の火があかあかと燃えて、居心地がいい。ルカは向かいの椅子に腰掛けていて、その頬は炎の熱でほてっている。
    触ると燃えるように熱いのだろうか。
    触れて、その熱を確かめてみたい。
    なんてそんな勇気僕にはまだ無い

    //
    ルカは夢想した。
    自分の頬を、白い手で包まれる事を。暖炉の炎の熱のような熱い彼の手。瞳は踊る炎のように燃えていて、それをじっと見つめていると喉が熱くなって、カラカラに乾いた。
    パチン
    薪が爆ぜる音がして、現実へと引き戻される。
    目の前の彼は、私の事を見つめてなどおらず、机の上で手を固く握り締めていた。
    喉の乾きを潤そうと用意されていたティーカップに口をつけると、渋くてお世辞にも美味しいとは言えないものだった。
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    chanuitei

    DONE #墓囚版深夜の60分一本勝負
    2021.12.18
    お題『横顔』
    お借りしました。

    荘園を出たあとのお話
    横顔あれから、もう何度季節を見送っただろうか。

    荘園でのゲームをクリアして、各々が自ら望む場所へと帰っていった。荘園で出会った一部の人間とはたまに手紙のやり取りをしている。中でも、ビクター・グランツとはよく連絡をとっている。手紙の内容は代わり映えのない近況報告。それでも、友人と呼べる人間なんていなかった僕からしたら、とても価値のあるものだ。
    荘園でのゲームはクソッタレな内容だったが、大金以外にも僕に沢山のものを与えてくれた。

    一つ目は他人との関わり方……いや、この言い方だとビクターに怒らてしまいそうだから
    、友人、と言い変えよう。
    ゲームは他サバイバーと協力、意思の疎通ができないと勝てない。これが僕にはとても難しかった。化け物の僕となんて、誰も話したがらない。ましてや、協力なんて無理な事だ。そんな僕に荘園のメンバーは根気よく付き合ってくれた。中でも、同じ頃に荘園に来たビクター、ルカは僕に寄り添ってくれた。ルカとは言い合いにもなった。ルカは柔らかそうな顔の裏でとても頑固で自分の意思を曲げない。一度火がつくと感情を面に出すくせに、ほとぼりが冷めると言い過ぎたとしょぼくれる。そんな僕達をビクターは呆れることなく、見守ってくれていた。
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    chanuitei

    DONE #墓囚版深夜の60分一本勝負
    2021.09.11
    お題「鮮やか」お借りしました。
    花ざかりアンドルー・クレスのとある日の日記

    ++

    荘園には鮮やかな花が咲いている。庭師の女……エマ・ウッズが手入れをして花を咲かせているらしい。風に乗って香る花の匂いを肺いっぱいに吸い込むと、心に暖かいものが灯る。
    花は、好きだ。晴れた日の庭に出て、花を愛でたいが太陽は僕の肌を焼き尽くそうとしてくるので、それは叶わない。
    若葉が育ち、蕾ができて、いのちにみちあふれていま開こうとするその瞬間をできるのであれば、僕は沢山見てみたい。青く澄んだ空の下で太陽の下でキラキラと光る色とりどりの花達。その花の周りを飛ぶ蜜蜂。花咲くことは命の誕生だ。その光り輝く命の中に僕はいられない事が凄く寂しくて、そして羨ましかった。
    この荘園に来てからも、僕は隠遁とした生活を送っている。共に戦うサバイバーとは、ゲームをする上での最低限のコミュニケーションをするだけ。一部の奴等は、僕がテーブルに俯いて誰とも目を合わさないようにしているのに、そんなのお構い無しに話しかけくる。そいつらには真っ白で化け物と罵られてきたこの見た目が、普通の人間に見えているらしい。変な奴らだ。
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