王子様には彼がいたその笑顔を見た時、運命だと思いました。
学校のロビーの端っこで、私は手持無沙汰に掲示板やら装飾やらを眺めていました。お友達が教室に忘れ物をしたと言うので、一人で待っていたのです。
眺めるのにも飽きて足をぶらぶら、何とはなしに靴先を見ていたら、足元にハラリと何かが落ちました。それは近くのテーブルに置かれていたこの学校のパンフレットのようでした。
学外に配っているこの広告を、そういえばちゃんと見たことがありませんでした。そう思い何気なく中を開いてみると、一番に「彼」が目に飛び込んできたのです。
彼は大きなまろい瞳にきらきらと光を湛えて、手前に見切れている黒髪の人物に笑いかけていました。黒に金が混じった特徴的な髪が風に靡き、その柔らかくも相手を虜にするような魅力を持つ笑みをさらに色鮮やかに彩っています。散らばるそばかすが幼さを加え、少年と青年の間にいる彼の線の細さを強調しておりました。
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