愛は誠実 どうやら微睡んでいる内に本当に眠ってしまっていたらしい。まだ重たい瞼をこじ開けるようにして開くと、精悍な横顔が見えた。彼はすぐにアイビーが起きた事に気がついて、ふっと眦を緩める。
「起きたのか。もう少し眠っていても構わないぞ」
「どのくらい私は眠ってしまっていたのかしら」
「ほんの僅かな間だ。くべた薪が燃え尽きるより短いくらいだろうか」
「そう……」
気怠い身体を起こすと、被せられていた布がぱさりと落ちた。ブロディアの紋章が染め抜かれたそれは、彼が――ディアマンドがいつも身につけているものだ。
どういうことかとアイビーが目顔で問うと、彼ははにかむように微笑んだ。
「風邪を引いてはいけないと思ってな。無骨な外衣だがないよりはいいだろう」
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