ラジオ越しの攻防2「ようやくこの話ができるね!見てくれたかな?先日の灰原のドラマ!」
「お遊び回?スポーツ回?だっけ。すごかったよな」
「灰原、あれ最初はどういう話だったの?」
「台本もらった時点ではレッドの虎杖くんと正体を隠した僕でワンオンワン対決の予定でした」
「一応バスケをする予定だったんだ?」
「その回に急遽七海が出演することになって、それを知った私たちピンチャンが参戦したら呪専プロも負けじと所属タレント出してきてそのことを聞いた他事務所も出てきて最終的に芸能人大運動会になっちゃったんだよね」
「羂索さんの八艘飛び格好よかったです!」
「灰原自身はどれが面白かった?」
「五十on五十ですかね!大人数でも互いの数さえ合っていればバスケはできるってはじめて知りました」
「あれねー結局ボール見えなかったんだよなー」
「バスケなのに結果が三対〇なんて地味な結果だったのが残念だよ」
「五条がスリーポイントを決めたんだっけ?」
「そうそう」
「おかげで間一髪七海に捕まらずに済んだので助かりました!」
***
「なんで邪魔するんですか五条さん!?」
「だって曲がりなりにもバスケだし…」
「もう少しで灰原の腕がつかめそうだったのに!」
「バスケだとファールだぞそれ」
本気で悔しがる七海に五条は冷静なツッコミを入れた。
***
「灰原クランクアップおめでとう!」
「おめでとー!」
「ありがとうございます!」
「見事な散りっぷりだったな」
「まさか爆発するとは思わなかったよ」
「下半身がなくなるなんて!」
「小道具さんと上半身の模型を頑張って作りました!」
「あれ見た七海が膝から崩れ落ちてたけどなにかあったの?」
「…?心当たりないです!」
「でもあれのせいでボスの退場よりも『七海(役名)にあんな過去があったなんて』のほうがバズっちゃったから現場は大変だよね」
「あと二話でどう収めるんだろうな?」
「僕も知らないので楽しみにしてます!」
***
「現場の気も知らないで!!!」
台本に線を引きながら七海は叫んだ。
「なんで急に私の役が裏ボスになるんですか!?」
「なんでって…。灰原死んだときの反応が尋常じゃなかったじゃん。絶対なにかあるって視聴者も思うって」
「前と同じ死に方されたら錯乱するでしょ普通!?」
「…それはまあ、うん」
急遽仕事が増えた七海と現場のために差し入れを手配しよう、と五条はスマホを手に取った。
***
「灰原が出てたドラマも無事終わったね」
「まさかボスと裏ボスにあんな過去があったなんて…」
「僕も知らなかったです!」
「で、一年通しの仕事が終わったわけだけど、どう?」
「どう、とは?」
「七海の隣に立てそう?」
「まだまだです!紐なしバンジーでも犯人役でも何でもやりますよ!」
「主役は狙わないんだ?」
「柄じゃないので!」
***
「柄じゃない!?光属性が服着て歩いてるみたいな奴が柄じゃない!?」
「七海お疲れー」
***
つづく