愛と後悔「先ず、一番重要な点から伺います。……カキツバタくんは、死んだんですか?」
僕が念の為覚悟を胸に静かに問うと、スグリが怖い顔になり、アカマツくんがギュッとフライパンを握り締めた。
アイリスさんはそんな僕達を順に見て、言葉を選ぶように暫し沈黙して考え込む。
数分にも数時間にも感じた静寂が過ぎ去った後、飛んだ答えはこれまた不可解だった。
「私も、死んだのだと聞かされました。でも生きてると思う」
僕達三人は視線を交わらせる。
そんなアイコンタクトには気付いているのだろう。イッシュの女王は大きく息を吐き出して続けた。
「ご存知か分からないけど、私はソウリュウシティの出身でもドラゴン使いの一族の生まれでもないの。竜の里という場所から来た、所謂"余所者"。お祖父ちゃんの後継者だからって、そこは変わらない。だから……一族の仕来りにはまだあまり詳しくなくて。関わることが無かったわけじゃないけど、仲間外れにされることも多いの。あくまで"後継者"で本当に当主になる日も決まってないから、尚更」
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