航海ステンドグラスからの月明かりが差し込む机に置かれた家の鍵を見ながら溜息をついた。思考の荒波への航海の仕方をいつまで見つけれないままなんだろうかと。
いつか君にも捨てられて、期待もされないで、生きるために生きて、何も生み出さないで、何も感じないで、もぬけの殻になってしまいそうな自分が怖い。それでも僕は僕を捨てられないで縋るように生きてしまう自分が怖い。それなら僕から君を捨てて、僕だけが期待して、孤独で強くて、そんな人生を…
「俺が消えてしまったら、それを君はどう受け入れるのか、受け入れられないのか、気になる」
と足音を立てることを忘れている同居人が後ろから感情の分からない声色で言った。
「君が…消えたら僕は」
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