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    kurayoshi_9

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    kurayoshi_9

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    #hrakプラス #hrak夢 相手はもちろん👖
    もしもうちの夢主がヴィランのスポンサー的なことしてたら話。映画やドラマを参考に書いてますのでパロ…なのかも?

    出会い、繋がる『本日未明、東京都◯◯にて男性の遺体が発見されました。男性の身元は△△大学の大学院生、×× ××さん、25歳であることが判明。遺体の周囲に薬物が散乱していたことから、警察は自殺と事件の両方の面から捜査を…』


    ジーニアスOffice 応接室にて
    「『オーランジュ』?」
    「そう。薬のカプセルの色がオレンジだから、ドイツ語で『オレンジ』って意味の『orange』(オーランジュ)って呼ばれてるらしい」
     塚内がため息混じりで説明するのは、最近世間を騒がしている麻薬についてだった。暴力団員のみならず、一般市民…まだ未来ある大学生にまでその毒物は出回り、今日ついに死者が出た。
     …許せんな。こんな薄汚い薬で若者が殺されるなど。
     ギリッ…と拳を握り、怒りを鎮める。…落ち着け、冷静にならなくては。怒りは視野を狭めるだけだ。
    「薬の出どころはまだ掴めていないのか?」
    「悔しいことに全く。…ここまで情報が出回ってないと海外から、って線もあり得るけど」
    「…海外で作られ日本で流通?なかなか手間をかけるな。それにリスクも高い」
    「そこなんだ。空輸でも何でも、どこかで絶対検査がある。それを毎回パスできるとは思えない。検査官だってプロなんだから」
    「…となると日本で作られた、という線が妥当か。その方がリスクを回避できるし、手間もない」
     手元の資料に目を通しながら思案する。流通しているのはやはり裏社会…暴力団・密売人といったヴィランばかり。だが…。
    「…誰も薬を作っている人物を知らない、とはな」
    「誰か作っていることは確かだ。こうして出回ってるんだから。……でもそれが誰かは知らない。裏の人間なのか、表の人間なのかすらさっぱりだ」
    「……薬を扱っている以上、裏の人間だと思いたいがな」
    「全くだ。……さて、どこから手をつける?」
    「ふむ…」
     薬の流通ルートは警察で捜査中。有益な情報を得るまでは時間がかかる。こちらは人員の多い警察に任せよう。裏の人間に情報を得る…彼らがすんなり口を割るとは思えない。となると…
    「…△△大学の××」
    「被害者か」
    「ただの大学生が麻薬を手に入れた…ここにメスを入れれば何かしら出る筈だ」
    「裏社会との繋がり…もしくは薬の製造元、とか?」
    「何が出るかはわからないが…行ってみる価値はある」
    「そうだね。じゃあそっちはジーニストに任せるよ。僕らは流通ルートと裏社会の人間を捜査する。何かあったらまた連絡する」
    「わかった」
     塚内はオフィスを後にした。…明日、大学に出向いてみるか。


    △△大学にて
    「……まぁ、そう簡単に情報が掴めたら苦労しないか」
    「ですね…」
     SKを連れて被害者の大学に出向いた。学長に許可を取り、事件の詳しい話はしないという約束の元、学生に聞き取りをしていった。が…。
    「至って真面目な学生だったようだな」
    「講義も真面目に出て、教授や友人とも仲が良い…麻薬に手を出す理由がわからないですね…」
    「好青年にも裏の顔があった、ということか。…人は見かけによらないのかもな」
    「そうかもしれませんね…。……あ、ジーニストここです。被害者がよく通ってた図書館」
     自動ドアを潜ると入館ゲートに行く手を阻まれる。カウンターに人がいない。どうしたものか……ん?【御用の方はこちらのボタンを押して下さい】これか。
     ボタンを押すと、ピンポーンと館内に音が響く。少し待つと奥から女性がパタパタと小走りで来た。
    「あっ、ご、ごめんなさい。奥で作業をしてて…えっと……今一般の方の利用は…」
    「プロヒーローのベストジーニストだ。突然済まない。…先日亡くなった××さんがよく図書館に通っていたと聞いてね。少し話を聞かせてもらいたいんだが…」
    「えっ?……あっ!本当だ、ベストジーニスト…!失礼しました!どうぞ中へ」
    「ありがとう」
     ゲートを通り、図書館内の事務室へ通される。勧められたソファに座り、事務室内を見渡した。机が五つある…が、パソコンは二台分しか着いていない。二人しかいないのか?
    「…君はここの職員かな?」
    「はい。鷹見朧と申します。よろしくお願いします」
    「急かして済まないが、早速話を聞きたい。××さんと親しかった職員はいるかな?」
    「えっと…それなら僕、じゃなくて、私だと思います。ぼ、私がカウンター担当なので」
    「では鷹見さん。…ああ、話しやすい喋り方でいい。一人称も変える必要は無い。××さんについて…例えば危険な所や人物の話が出たりとか、体調を崩していたとか、何でもいい、どこか変わったところはなかったかな?」
    「変わったところ……ですか…。…うーん……最近気になる女性ができて、どうやって振り向かせるか悩んではいましたかねぇ…」
    「女性…。誰かわかるか?」
    「隣の大学の子とは聞いたんですが…それ以上は…」
     隣の大学…確か女子大だったな。かなり大きい大学だった気がする。あそこから探し出すのならもう少し情報が欲しいところだが…。
    「……ちなみに、××さんはどんな本を借りていたかわかるかな?」
    「…申し訳ありません、守秘義務がありまして。……この場合話していいものか、僕には判断しかねます」
    「それを判断できる人は?」
    「館長でしょうか…?今は不在でして…」
    「そうか…。ありがとう。もし許可が出たらここに連絡をしてくれ」
     仕事用のアドレスが書いてある名刺を彼女に渡す。…これ以上の長居は不要だな。隣に座っていたSKに目配せして立ち上がる。
    「では我々はこれで」
    「あっ、はい。申し訳ありません、大したお話ができず…」
    「いや、そんなことはない。あなたのおかげで少し進展したよ。ありがとう」
    「…そう言っていただけると、心が安らぎます」
     少しは力になれたことに安堵したのか、彼女はフワッと笑みを浮かべる。
     その瞬間、ドスッと何かが突き刺さったような感覚がした。心臓が早鐘を打ち、彼女から目が離せない。
     ……は?嘘だろ。何だこれは。…熱い。顔が熱を帯びている気がする。耳の隣で心臓の音が鳴っているのか?やけにうるさい。
    「…ジーニスト?」
    「あの……どうかなさいましたか?」
     SKと彼女から心配され正気に戻る。が、彼女を見るとまたドクンドクンと心臓がけたたましく鳴り始める。…いかん、呼吸が苦しい。
    「ベストジーニストさん…?」
    「あ、いや、済まない、少し考え事をしていただけだ」
    「そう、ですか…。……あの、よろしければ、どうぞ」
     彼女はポケットの中から飴をいくつか取り出し、私の手に持たせた。
    「ハッカの飴なんですけど…頭をスッキリさせてくれるので、持ち歩いてて…。………思考が煮詰まったらよく食べてるんです。ベストジーニストさんも、お嫌いでなければどうぞ。…あ、SKさんもどうぞ」
    「あ、ありがとう…」
    「ありがとうございます」
    「いえいえ。…いつも街を守ってくださってるヒーローにこんな事しかできなくて、申し訳ないですけど」
    「そんなことはない。…とても嬉しいよ。大切に食べる」
    「ありがとうございました。では我々は失礼します。また何かありましたら連絡をお願いします」
     図書館を後にする、が…彼女のことが頭から離れない。何だこれは。何なんだ。彼女の声が、表情が、ずっと頭に残っている。早鐘を打つ心臓も元に戻らない。それどころか更に早くなっている。これは、いったい…。
    「……スト。ジーニスト、聞いてます?」
    「っ!…済まない、何だったかな」
    「どうしたんですか?さっきから様子がおかしいですよ?」
    「……何でも、ない」
    「…そうですか。ならいいんですけど…。…今日はどうしますか?一旦オフィスに戻りますか?」
    「あ、ああ…そうしようか。戻って、情報の整理を…」
     整理。そうだ整理しよう。私が今、こんな事態に陥っている理由は?…彼女の、鷹見さんの笑顔を見たから。
     なぜ笑顔を見て動揺した?…彼女の笑顔が、可愛かったから。
     ……可愛かったから?初めて会った女性に、可愛いと思った?私が?そんなこと生まれて初めてだぞ?……おいおい、マジか。嘘だろう?
    「……この歳で、そんな、」
    「ジーニスト?」
    「…あり得ない。…いやでもそれしか…」
    「ジーニスト?どうしました?」
    「……済まない。先に車に戻っていてくれ」
     踵を返し、走る。向かうのは…。

     ピンポーン、と館内に音が響く。少し経ってからまた彼女が小走りでやってきた。
    「あれ?ベストジーニストさん?忘れ物でも?」
    「突然済まない。少し聞きたい事があって…」
    「さっきの××さんのことですか?…申し訳ありません、あれ以上のことは「いや、そのことではない」…え?」
    「……君、ひと目惚れって信じるか?」
    「…………はい?」
     ゲートに近づき、彼女の手を取る。ゲートの警告音がブー、ブーとけたたましく鳴り響くが無視して彼女に問いかけた。
    「ひと目惚れ、信じるか?」
    「え、は、はぁ……まぁ、あり得るんじゃないでしょうか…」
    「そうか。私は信じてなかった。会って間もない人を好きになるなんて想像できなくてな。あり得ないと思っていた。……先ほど君に会うまでは」
    「あの、ベストジーニ「君が好きだ。ひと目惚れだ。……私と、付き合ってくれないか?」
    「…………………………ほぁ?」
     ゲートの警告音を聞きつけて、警備員が来た。顔を真っ赤にした彼女と彼女の手を取る私を見て、戸惑っていた。…まぁこんな状況、100人見たら100人戸惑うだろうな。
     それにしても顔が真っ赤の彼女も可愛いな。思わずキスしたくなる。


    都内某所 レゴラメントホテルにて
    「…支配人。先ほどから天井を見上げて何を見てらっしゃるんですか?」
    「………渡、お前さ……ひと目惚れって信じる?」
    「……………………ドクターを呼びますか?」
    「どういう意味だコラ」
     寝転んでいたソファから起き上がり、部下をジド目で見る。この野郎……僕はお前の上司だぞ…?失礼な態度取りやがって…。
    「…今日、初めて会った人に『ひと目惚れだ』って言われたんだが……信じてもいいもんなのかねぇ…」
    「支配人にひと目惚れするとは稀有な人もいるものですね」
    「お前本当に失礼な奴だな」
    「お褒めに預かり光栄です」
    「褒めてない。まっっったく褒めてない」
     ズバズバ言いやがる…。……こいつの歯に衣着せない物言いは好ましい時もあるがこういう時は腹立つな…!相談相手を間違えた…!
     ため息を吐くと奴は眉をピクリと動かした。『本気で悩んでるんですか?』とでも言わんばかりの態度だ。……長年一緒にいたんだからこれくらいは僕にもわかるぞ?
    「……まぁ、あり得るのでは?ひと目惚れ」
    「…あり得るのか」
    「支配人だって、何か買う時に直感で『良い』と思った物を買うでしょう?それと同じようなものでは?」
    「………直感、ねぇ…」
     直感で僕を好きになる、か……。ヒーローが僕を直感で好き、ねぇ…。
    「……っはは、笑える」
    「支配人?」
    「…本当に『好き』なのかねぇ…?ひょっとしたら別の何かを感じたのかもしれないのにな」
    「例えば何ですか?」
    「例えば……僕がヴィランのサポートをしてる『機関』のボス、って事とか?」
    「支配人の擬態は完璧なので、それは無いかと思いますが」
    「擬態って…」
     思わず苦笑する。まぁ間違ってないか。自らヴィランになった僕が、一般人のフリをして大学の図書館で働いているんだから。擬態以外の何ものでもない。…我ながら、未練がましいな。
    「……支配人、そろそろ表社会で働くのはお辞めになっては?」
    「辞めない。……絶対に、辞めない」
    「…裏社会でもお「くどい。……それより、昼間言ってた情報は?」……」
     はぁ…と大きなため息を吐いて資料の束を僕に手渡す。それに目を通していくと、一箇所気になるところを見つけた。
    「…渡、薬の成分分析結果が二つある理由は?」
    「Aの方は警察が分析した結果、Bは我々で分析した結果です。先週、別のホテルで掟を破りこの薬の取引をしていたらしく…」
    「その取引していた奴らは?」
    「すでに魚の餌になりました」
    「生かしておけばよかったなぁ…薬が二種類あるとは思わなかった。何か聞けたかもなぁ…」
     後悔先に立たず、やってしまったものは仕方がない。……こんな事になるなんて誰もわからないんだから。
     写真のカプセル。見た目は同じオレンジ色だが中身が違う。というかこれは…。
    「…Aの方、かなり依存性が高くなるように作られてるな。しかもこれ、媚薬効果もあるだろ。キメセク用か?」
    「キメセク用にしてはなかなか危険な成分かと。摂取量を少しでも誤ると即死です」
    「Bは少し弱めたバージョンか…。媚薬効果のある成分は無くして、依存性をやや中和する成分と変えてる。摂取量を多少間違えても死にはしないように改造したのか…。捌きやすくするようにか?」
    「おそらく。…裏で出回ってるのはこちらのBの方です。Aを手に入れた裏の人間が模倣したのかと」
    「裏で出回らないAの薬…。劇薬ではあるが使い方次第では金になるのに出回らない……出回すルートを持ってない?」
    「……表の人間が作った、ということでしょうか」
    「……警察は知ってるのか?薬が二種類あるって」
    「表ではBは出回っていませんので…」
     知ってるのは僕らだけか…。さて、どうしたものか…。
     …ベストジーニストが大学に来たってことは、被害者がどうやって薬を手に入れたか掴もうとしてるんだろう。いずれ、Aを作った人間を見つける筈だ。なら僕は…。
    「渡、Bを作った奴を探す。情報を集めろ」
    「承知しました。…うちで利権を取るのですか?」
    「表で目をつけられた薬なんて捌きづらいから要らん。……ただの制裁だ」
     好物のハッカ飴を一つ口に含む。スーッとした清涼感が口に広がった。
    「僕の城で、薄汚い薬撒き散らした落とし前をつけてもらわないとな?」
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