解釈は好きな方で 今日一緒に訓練をしていたふゆづきがお疲れさまでした。と頭を下げパタパタと自分の艦に戻っていくのを見送る。最近は日が長くなってきたなとオレンジに色付いた景色をつかの間眺める。さてもう少しで今日の仕事も終わりだと程よい疲労を感じつつぐっと伸びをし、自分も艦に戻ろうとしたところで背後から声が掛かった。どうしましたー? と応えつつ振り返り声の主であるみょうこうと対峙する。逆光で表情は窺いづらい。
「しばらく様子を見ていたけど、少し甘やかしすぎじゃないか? 後輩が来て嬉しいのはわかるけどな」
「そうですかね。しらねさんは厳しめだし、みょうこうさんも半々くらいじゃないですか。なら俺が甘やかし担当でちょうどいいくらいですよ。飴と鞭のバランスは貴方から直に教わったもので」
甘やかし担当と言ったところで叱らないわけではない。そこは彼とて分かって言っている気がする。
「あ。もしかして寂しいんですか? いままで自分のところへ真っ直ぐ来てたのに、後輩ばかり構うようになったから?」
間髪いれず違う、と返ってくる。同時にペチンと叩かれた後頭部が結構痛い。じんじんとする頭を押さえて大袈裟にうずくまる。少しくらい寂しがってくれたって良いのになーと思いながらちらりと顔を上げた先、うっすらと朱に染まっているように見えるのは気のせいだろうか。夕焼けか、それとも。
「わかってるなら良いけど程々にな」
一瞬見入ってしまっていたが、長いため息とともに吐き出された言葉で我に返る。はーいと素直に応え、隣をすり抜けて行くのを見送った。
自分の顔が思いがけず火照っているけど、これは夕焼けのせいということにして。