考えることはみな同じ「こんごうさん、ご無沙汰してます!」
横付けした艦から下り、すでに自身の艦から下りて遠ざかる背中に向かって小走りで駆け寄る。呼び声に立ち止まり振り返ったこんごうへと、やや緊張した面持ちで手を差し出した。顔を合わせたまましばし考える様子にあれ? と首を傾げる。
「……もがみ、」
「はい!」
「では無いな。くまのか」
先ほどもがみから小さいときに会ったきりと聞いて入れ替りを画策してみたけれど、あっさり看破されて項垂れる。すぐバレるようなことをするんじゃないと軽く叱責されるおまけ付きだ。
「はぁい。ぼく達そっくりだからいけそうだと思ったんですけど」
「残念だったな。今の姿を知らないから自信は無かったが。なんとなく、としか言いようがないがあいにくと兄弟を見分けるのは慣れている。弟達も似たようなことをやっていたからな」
苦笑とともに隣の岸壁へと軽く視線を向け、それから名を騙られた当の本人がやってくるのを迎え入れる。バレちゃったと笑えばだから言ったのに。とため息をつかれた。
「こんごうさん、ご無沙汰してます」
隣でぺこりと下げられた頭を前に目を細めるこんごうを見て、この人相手に観察力は敵わないなと悟った。でもいつかリベンジしたいなと心のうちで温めながら。