グッバイネバーランド「お待たせしました、ご、しゅじん、さま」
それは、雷に打たれたような衝撃だった。
無愛想で、緊張しているのかガチガチで。運んで貰った水は零れているし、頼んだオムライスの上のケチャップは何て書かれているのか分からない。
普段なら「金を払ってんのはこっちだぞ」なんて小言の一つでも漏れるだろう。それでも、全部がどうでもよくなってしまった。
「どうぞ、ごゆっくり」
「あ、あの!」
そそくさとテーブルを離れようとする店員の腕を掴む。驚いたように丸くなってエースを振り返る瞳は、目が覚めるようなピーコックグリーン。その鮮やかさに目が眩んで、何かを考える前に言葉が口をついた。
「あんた、名前は?」
「……っ」
つかんでいる店員の腕から動揺が伝わる。ぶつぶつと何か喋っている声は聞き取りづらく、腕を引っ張って顔を近づけた。
4483