触れてほしい触れてほしい
「きれいな手で、キミに触れていたい」
綺麗な黒い長い髪をなびかせた女優のCMが大きなモニターで流れているのである。
雪がちらつくようになって寒さに億劫になりながらも、自身の手のかさつきが気になり、ハンドクリームを買い求め神宮寺寂雷は人混みのコンクリートジャングルを抜け少し大きめのデパートへ向かっていた。
(どれが良いとかよくわからないけれど、…昔、TDD時代ではよく彼が、私の手のケアもしてくれていましたよね…)
――懐かしい思い出で、いつも気づいたら思い返してしまう。
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ピンク髪にキャップ棒を被り白い服に身を包んだチームメンバー、乱数は寂雷の膝に頭を起き仰向けのまま手をじっと見つめながら触りつつ、ボソリと呟いた。
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