かいしんのいちげき! 久しぶりの宿屋だった。
みんなで並んでテントで眠るのが嫌いなわけじゃないけれど、旅人というのはきっと、時折どうしようもなく柔らかなベッドが恋しくなってしまういきものなのだと思う。
どれだけ仲間が増えても、ボクとカミュはいつも当然のように、お互いになんの相談もなしに二人で一つの部屋を取る。
それがなんだか嬉しいとカミュに言うと「そんなもんか?」と素っ気ない返事が来るのもそれが『当たり前』だからな訳で、やっぱり嬉しいなと思えた。
ベロニカ達にじゃあまた明日と手を振って、女将から渡された鍵の番号を確かめてから部屋のドアを開ける。
疲れたな、お風呂で寝ちゃいそう、そんな他愛のない話をしながらベッドに腰掛けて鞄の中身を整頓していたら、突然生温かい感触が首筋を撫でた。
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