知らぬが仏『明日ね、お月見なの!!ピッコロさんも来てくれる?』
昨日嬉しそうにはしゃいでいたパンが隣で小さく俯いてしょげるのを見て、ちらりとビーデルを見る。
「悟飯は」
「なんかね、さっき突然騒ぎながら部屋に篭っちゃったの。すぐ行くからとは言ってたんだけど」
修行場近くの小高い丘の上に遠足用のシートを引きながらビーデルは困ったように眉を下げた。
パンはぎゅっと俺のマントを掴んで、また寂しそうに足を揺らす。
金色に輝く満月はもうすでに頂点の半分程まで昇り、今まさに絶好のタイミングを迎えようとしているのにも関わらず、あの男は。
まったく、と半ば舌打ちのように呟いて、パンの頭をぐしゃりとかき混ぜた。
「待っていろ。俺が連れてきてやる」
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