祭り いつもは穏やかな街に笛の音が響く。
今日はキャロの街の収穫祭の日。街のあちこちから賑やかな音が聞こえてくる。多くの人が慌ただしく行き交う路地を、ナナミは一人歩いていた。
「私だって手伝いぐらいできるのになあ」
炊き出しをする女衆の手伝いをしようと張り切って顔を出したが「ナナミはいつものように会場準備を手伝ってあげて欲しい」と体よく追い出され、ブツブツ言いながらも素直に祭りの中心地へと向かっていく。
毎年ナナミは弟と幼なじみと一緒に会場準備を手伝っていた。ゲンカクに鍛えられ年々たくましくなっていく彼らは重要な戦力だ。
会場の中心である櫓が見えてきた。その周りでは男衆が声を上げながら慌ただしく動き回る。毎年変わらぬ光景。だがその中に彼らの姿はない。二人は昨年この街を出ていった。
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